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【連載/話題追跡】キーワードは〝パーソナライズ〞 健食市場、本格化する「AI」「IoT」導入

コンビニに置かれたサプリメントサーバーに手をかざせば、必要なサプリメントが出てくる。そんな時代が実現しそうだ。近年、健食業界でもAI(人工知能)/IoT(モノのインターネット)を導入したさまざまな取り組みが注目を集めている。AI/IoTの導入は健食業界にどのような変化をもたらすか。事例から探ってみた。

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コンビニエンスストア3位のローソンはIoTを用いた未来型コンビニの姿を具体的に描き出した。同社がコンセプトモデルとして打ち出したのは「イートインコーナー」をIoTにより高齢者のコミュニティースペースにする試み。カメラや装置を設置し遠隔地の医師による問診や、バイタルセンシングによる血圧、脈拍、呼吸、栄養状態や数値化した健康状態などを取得。その人の健康状態に合ったサプリメントを処方するという。

FiNC Technologiesは5日、AIを活用し個人の悩みに合ったサプリメントを販売する『FiNCパーソナルサプリメント』を発売。同社は昨年、AI搭載のヘルスケアアプリ『FiNC』が大手企業の健康経営等に採用され、注目を集めた。パーソナルサプリメントは、FiNCアプリから入力された健康状態に加え、同社が保有する生活習慣、栄養診断データをもとに同社の薬剤師、栄養士等の専門家が監修したサプリメントを1ヵ月単位で販売するというもの。フィードバックや注文履歴データをFiNCのAIが分析し加味する為、継続することでよりパーソナライズされていく。

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サプリメントサーバー『healthServer』(ドリコス)

サプリメントサーバー『healthServer』(ドリコス)も注目事例の1つ。縦横高さ20cm程の端末に搭載された生体センサーを指で触れると、あらかじめセットされた5種類の顆粒サプリメントが利用者に最適と判断された配合・分量で出てくる仕組み。独自のアリゴリズムにより、センサーで計測した脈拍から精神的・肉体的疲労度を判断。同時に、利用者からスマホを介して送られる生活習慣や行動予定なども加味して分析する。

サン・クロレラが7月より開始したサービス『oneness®』もユニーク。サービスは配置されるIOT端末を介して行われ、同社製品の飲用サポートのほか、飲用の度に登録した家族にメールを送信する“見守り機能”を搭載。端末から専用コールセンターとの動画通話も可能だ。

また、“飲む日焼け止め”『ニュートロックスサン』を販売するウィルファームでは、専用アプリを来春公開予定。GPSによる現在地情報と肌の色などの個人情報を解析し、個人の紫外線量暴許容量を分析。その上で飲用タイミングをサポートする。取得した顧客データから、臨床データとのギャップを埋めることが可能と期待を寄せる。

各社とも、AI/IoT導入のメリットとして「パーソナライズされた膨大なデータの取得と分析」をあげる。「利用者別の“悩みの変化”まで数値で追うことができる為、いち早い対応が可能」(FiNC Technologies)という。また、「個々人から集積された膨大なデータの中には、大きな括りのアンケートや人間の経験・勘では見つけられなかった意外な因果性や法則が隠れている。そこに新たなニーズがある」(ドリコス)と、AI/IoTを活用したスマートな市場拡大に意欲を見せる。健食市場の新たな展開が期待できそうだ。

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本記事は「健康産業新聞 1655号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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