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特集【中国地方(山陽・山陰)】ス ト ー リ ー 性 の あ る 地 域 資 源 の 利 用 拡 大

本州の西部に位置する中国地方は、山地や丘陵と海に囲まれた地域である。豊かな自然環境から生まれる農産・海産物を活用し、キチン・キトサン、グルコサミン、カキ肉エキス、エラスチン、フコイダンなど多彩な機能性原料が製造されている。交通の利便性も良く、受託製造企業や原料メーカーも数多く所在しており、5県トータルした健食売上高は、末端ベースで約900憶円とも推計される。また広島大や鳥取大発のベンチャーとメーカーが連携した機能性研究も進展。機能性表示食品から化粧品、ペットサプリまで幅広い商品開発が進められている。中国地方に所在する有力企業の動向をレポートする。

■有力な健食メーカーが数多く所在

中国地方は、関西、四国、九州など西日本各地方への利便性の良さから、有力な受託製造企業、原料メーカーなどが所在しており、健康食品・サプリメントの製造拠点として機能している地域だ。八幡物産、山田養蜂場、万田発酵など全国的に販売網を広げる通販企業が所在している。

健康食品や健康茶の受託製造では、備前化成、ファイナール、セイシン企業、クロレラサプライ、ゼンヤクノー、飲料受託では、コトブキ、ミリアグループ、宝積飲料などが工場を構えている。また農林水産資源も豊富で、古くから稲作をはじめ畜産、野菜、果樹の生産が盛んに行われてきた。フルーツ王国と呼ばれる岡山県は、平均日照時間が長く全国トップクラスの果実出荷数を誇る。栄養価、粒の大きい白桃やピオーネ、マスカットは全国の果実市場でも最高級品とされ高値で取引されている。こうした果実から抽出した植物発酵エキスを利用した『吉備酵素』(機能性食品開発研究所)や『OM-X』(バイオバンク)などの酵素サプリの製造も進んでいる。島根県や鳥取県では、有機農産物の栽培が盛んで、ハト麦、桑の葉、ケール、大麦若葉など青汁、健康茶として利用されている。

また日本海、瀬戸内海の2つの海域に面していることから日本海側では魚類、イカ、カニ類が、瀬戸内海側ではカキを中心に大規模な海面養殖業が行われている。カキの国内水揚げ量は広島、岡山、山口、鳥取の4 県で全国の約7 割を占め、鳥取県の境港は、日本一のカニの水揚げ量を誇ることで名高い。こうした豊富な資源を活用した6次産業化も推進されており、広島県産カキを由来とする『カキエキスパウダー』(丸善製薬)、カツオ動脈球から抽出した美容成分『カツオエラスチン』(林兼産業)、カニの廃殻を原料とした『キチンナノファイバー』(マリンナノファイバー)など国内外に向けて発信されている。

■産学連携による商品開発の動きも

産学連携による機能性素材の研究、健康食品の開発も広がりを見せている。広島大発ベンチャーのキャンパスメディコでは、同大歯学部の二川浩樹教授が発見したL8020乳酸菌を利用したヨーグルト、サプリ、タブレットの製品化を推進。同社が運営するL8020協議会には、広島県内外から19社が参画し、健康食品からペット向けサプリまで商流を拡大させている。最新のヒト臨床試験では、口腔内のマイクロバイオーム解析により歯周病菌の減少を確認しており、整腸のみならず免疫や美肌といった領域でも展開が見込まれている。

あじかんでは、大学機関と連携した国産ごぼう茶の商品開発に着手。素材の美味しさを保ちつつ、機能性を向上させた健康茶の開発を進めており、昨年4 月、『あじかん国産焙煎ごぼう茶ごぼうのおかげ』が機能性表示食品として受理された。通販のみならず、ドラッグストア、スーパーなどへの卸販売を拡大させている。鳥取大発ベンチャーのマリンナノファイバーは、2016年より、カニの廃殻を原料とした「キチンナノファイバー」の研究を展開。廃棄物を利用した機能性素材の開発は、SDGsの観点からも注目を集めており、食品のみならず、ハンドクリームや保湿剤としても利用が進む。

そのほか、広島大学との共同研究により植物乳酸菌入りの飲料を展開する野村乳業、岡山大学薬学部名誉教授の山本格氏が代表を務め、ビタミンC誘導体を供給するアスコルバイオ研究所なども産学連携による取り組みを推進する。

本記事の続きは「健康産業新聞1686号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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