カンナビノイド検査機関連絡協議会(CTLLC)は、検査機関としての観点から消費者の安心安全と健全な市場形成を目指し、検査標準化とリスク低減を掲げる業界団体として情報発信を強化している。その最新コンテンツとして、香川大学学長・上田夏生氏(医学博士)による解説記事「大麻とエンドカンナビノイド・システム─大麻成分と人体のメカニズムを正しく理解するために─」を公式サイト(https://ctllc.or.jp/)の〈基礎情報〉ページで公開した。記事では、大麻に特有の化合物群“カンナビノイド”、精神作用を持つTHCと持たないCBDの違い、体内恒常性を支えるエンドカンナビノイド・システム(ECS)の仕組みを図解付きで整理し、医療現場や消費者が混同しやすい論点をわかりやすく解説している。
上田氏はエンドカンナビノイド研究の第一人者。1990年代からヒト体内に存在する「マリファナ様物質」の合成・分解酵素の同定に取り組み、新規酵素やcDNAクローニングを次々と報告した功績により、2021年に国際カンナビノイド学会(ICRS)からMechoulam(メシュラム)賞を受賞している。
Mechoulam賞は、カンナビノイド・エンドカンナビノイド研究に長年持続的かつ卓越した貢献を果たした研究者に贈られるICRS 最高位の学術賞で、受賞者は分野の方向性を決定づける「メンター」としても評価される点が特徴であり、20年以上の歴史において、日本人で受賞したのは上田氏のみ。
CTLLCは今回の寄稿公開を皮切りに、ファクトデータや研究成果を順次アップロードし、ガイドライン策定や消費者の安心のために基礎的な情報発信を通じて業界全体の透明性向上を図る方針だ。