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【8月号連載】産学官シリーズ60 世界遺産からの自然の恵み「弘前大学白神酵母」の取組

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

産学官連携による地域農・畜・水産物活用のための機能性食品開発研究を追う
シリーズ60
世界遺産からの自然の恵み「弘前大学白神酵母」の取組
地方独立行政法人青森県産業技術センター弘前工業研究所 齋藤 知明
国立大学法人弘前大学農学生命科学部 殿内 暁夫

1.地域の食品研究の現状
青森県は三方を海に囲まれ、中央部に八甲田山系が位置し、日本海側に白神山地や津軽半島、北部に下北半島があり、豊かな自然に恵まれた県である。気候は比較的冷涼であるが、四季がはっきりしており寒暖差も大きい。カロリーベースでの食料自給率は123%(平成26年度概算値)で全国4位の高い水準であり、品目別自給率では、りんごを主体とした果実をはじめ、米、大豆(食用)、野菜、肉類、鶏卵、魚介類などが全国平均を上回り、平成27 年の農業産出額は3,068 億円で、平成14 年を基準として119.4%となっており、全国一の伸び率となっている。また、水産業においても漁業生産量は全国5位、生産額は7位であり、全国有数の水産県となっている。しかし、豊富な農水産物がありながら食品加工の出荷額は低く、食品の出荷額に対する付加価値額の比率は全国最低レベルである。

(地独)青森県産業技術センターにおける食品の研究は素材そのものの生産、改良から加工まで13の研究所において分担しており、弘前工業研究所は農水産物の素材化、機能性、醸造の業務を行っている。弘前大学では、第二期中期目標期間における機能強化の柱として、「環境、エネルギー、被ばく医療、食」を教育・研究及び社会貢献の中心標題にしており、世界と地域に対し、人材の育成と情報の発信を行うことを掲げており、農学生命科学部に食品分野の教育コースを新設し、食産業への貢献強化を行っている。

2.プロジェクト発足の経緯
青森県南西部と秋田県北西部にまたがる面積約13 万ヘクタール、標高1,000m 前後の山々からなる地域は白神山地と呼ばれ、中核部約1万7000ヘクタールに世界最大級のブナ天然林が保存されていることが評価されて1993 年にUNESCOの世界自然遺産に登録された。

年平均気温の平年値は7.2℃、最暖月(8月)の平均気温は20.5℃、最寒月(1月)の平均気温は−4.7℃であり、一年のうち約半年近くは雪に覆われている。世界的にもまれな多雪環境を反映して日本固有のブナを単一の優占樹木とした森林を形成しており、希少種や固有種を含む540種類以上の植物が自生、35種類の哺乳類動物、94種の鳥類、9種の爬虫類、13種の両生類、2,200種以上の昆虫類が生息する。

「弘前大学白神酵母(弘大白神酵母)」(商標登録、2016年2月)は弘前大学農学生命科学部環境微生物学研究室が主体となり、2011 年から白神山地に生息する微生物の総合的研究を開始し、ミズナラやブナなどの樹皮や落葉から分離・選抜した酵母である。弘大白神酵母ライブラリーには、2018 年6月現在、166 株の「弘大白神酵母」が収蔵されている。「弘大白神酵母」の活用とブランド化推進を目的として、2013 年9月30日、弘前市4 社と弘前大学、青森県産業技術センター、弘前市が発起人となり産学官連携組織であるひろさき産学官連携フォーラム内に「白神酵母研究会」が設立された。研究会では、勉強会の開催や酵母の無料サンプル提供などを通して、商品開発支援を行っている。

―以下、続きは月刊『食品と開発』8月号にてご覧ください。
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