今年5月に、日本食品添加物協会の新会長として就任した香田隆之氏。1989年に味の素社に入社し、アミノ酸をはじめとした発酵素材製造に携わるなど技術畑を経験。タイ味の素社アミノ酸工場長、北米技術センター長、アメリカ味の素社上席副社長、生産統括センター長を経て、同社のSCM改革、DX化を推進。2022年4月より執行役専務、CDOを兼任し現在に至る。協会としての今後の取組みと食品添加物をとりまく状況について話を伺った。
香田氏は、安全で有効な食品添加物の普及と啓発に向けた同協会の取り組みを継承。米国における合成着色料排除の動きや、超加工食品なる食品カテゴリーが喧伝されるなど、メディアやSNSなどにおいて生活者の不安をあおるような情報が流布されている現状について、「我が国で認可されている食品添加物の安全基準は極めて厳格なものであり、必要に応じて評価の見直しや規格改正が行われている。従来からの講習会や研修会のほか、各種SNSツールも活用し、科学的根拠に基づいた情報発信を続けていく」と述べた。
とくに2023年より運用しているXやTikTokといったSNSアカウントは、10代を含めた幅広い世代と繋がることができるツールとして位置づけ。食品添加物へのよくある疑問にクイズ形式で答えたり、数十秒程度のショート動画で配信したりと、専門知識がない人も親しみやすく、分かりやすいように工夫されている。
またサステナビリティ分野における食品添加物の有効性についても触れ、加工食品の歩留まりアップ、日持ち向上による食品ロス抑制など、社会問題解決に向けた食品添加物の可能性についても広く訴求したい考えだ。
そのほか2024年4月より本格適用された「添加物表示ガイドライン」について、単なる「無添加」表示は少なくなってきていると評価。一方で消費者誤認に繋がるような「無添加」「不使用」表示は未だに多いと指摘。ガイドラインの周知徹底に努めるとともに、関係各所とも連携の上で市場監視を行っていくとした。













