伊那食品工業は、新ブランド「イナファイン」を立ち上げ、第1弾商品として腸・膝・腰に働きかける「寒天オリゴ糖」の本格販売を開始する。
寒天オリゴ糖は寒天の主成分であるアガロースを、酸または酵素で加水分解して短い糖鎖に分解して作られるオリゴ糖(アガロオリゴ糖)。構造的にはD-ガラクトースと3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースからなる二糖単位が繰り返される特徴をもつ。
同素材の大きな特徴は、有用菌を維持しながら、腸内の有害菌を選択的に抑える点にある。
一般的なプレバイオティクスが、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌を増やすことに着目してきたのに対し、寒天オリゴ糖は、有用菌には大きな影響を与えず、疾病との関連が報告されているRuminococcus gnavusやFusobacterium nucleatumなどの増殖を選択的に抑えるという特徴を持つ。藤田医科大学医学部らとの共同研究では、寒天オリゴ糖がR. gnavusやF. nucleatumの増殖を抑制する一方、BifidobacteriaやLactobacillalesでは明確な増殖抑制を示さないことをin vitro試験で確認している(図1)。特に、寒天オリゴ糖に含まれる2糖(アガロビオース)や4糖(アガロテトラオース)などの短鎖成分で強い増殖抑制作用がみられている。さらに、健常成人を対象としたヒト試験でも、R. gnavusが減少する方向の変化がみられる一方、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌は維持され、有用菌に影響を与えにくく、特定の菌を選択的に抑えるという特徴が示唆されている(図2)。
同社では、こうした特徴から、寒天オリゴ糖を「有用菌を増やす」だけではなく、「有用菌を維持しながら、有害菌を選択的に抑える」新しいタイプのプレバイオティクス素材として、食品・サプリメント分野への展開を進めていく。
また、腸内環境に関する研究に加え、身体機能への作用についても研究を進めている。健常成人50名を対象としたRCT試験(200mg/日、12週間)では、「階段の上り降り」や「しゃがみ込みや立ち上がり」、「腰をひねってものを取る」といった日常動作について評価し、プラセボ群と比較して改善を確認した。現在、「膝や腰のつらさや違和感の軽減」をヘルスクレームとする機能性表示食品への届出を進めている。このほか、高齢者を対象に、歩行能力や握力など健康寿命やフレイルに関わるデータも蓄積しており、健康QOL向上素材としての展開を進める考えだ。
イナファイン「寒天オリゴ糖」の発売に先立ち9月25日には、新製品発表会を開催。藤田医科大学岡崎医療センター病院長の廣岡芳樹教授、藤田医科大学医学部医科プレ・プロバイオティクス講座の栃尾巧教授、信州大学学術研究院(農学系)の片山茂教授らが登壇し、寒天オリゴ糖の腸内細菌叢へのアプローチや体内動態に関わる講演を行ったほか、ペットなど動物医療の観点から、栃尾巧教授と獣医動物行動学の第一人者である茂木千恵氏がパネルディスカッションを行い、プレバイオティクス素材としての期待を述べた。















