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抗アレルギー作用で知られる柑橘「じゃばら」が、抽出物の登場で加工食品への応用が容易に

抗アレルギー作用で知られる柑橘「じゃばら」は、果汁や果皮粉末などがジュースやサプリメントとして使われているが、果皮の抽出物が開発されたことで、少量添加で済むため最終製品の風味に影響を与える心配がなく、水にクリアに溶解することから、サプリメントはもちろん、飲料やゼリーなど一般食品への応用も容易になった。

■「じゃばら」とは
「じゃばら」とは柑橘類の一種で、和歌山県北山村の福田国三氏宅で発見され1979年に新種登録された。北山村でしか収穫できないという希少性の高い果実であり、柑橘類の中でもナリルチン含量が極めて多いのが特徴。じゃばらが注目されるきっかけとなったのが抗アレルギー作用。じゃばら愛用者が経験的に花粉症の症状緩和を感じていたところに、じゃばら果汁を用いた花粉症に対する研究論文が出され、花粉症への有効性が知られるところとなった。

■じゃばらエキスの供給
じゃばら果皮抽出物の原料供給を行っているのがネイチャーライフ。ナリルチン30%以上で規格化したじゃばら果皮抽出物「シトラスナリルチン®30」を取り扱っている。じゃばらの元祖である福田農園(ジャバラボ)の果皮を用いてエキス末に加工したもので、2017年に上市したもの。機能性研究に関しても、新薬リサーチセンターなどとともに進めている。

3月の農芸化学会では石巻専修大学らと行った抗アレルギー作用についての共同研究が発表された。花粉症モデルマウスを用いた試験で、じゃばら果皮エキス投与群ではくしゃみ回数、鼻掻き回数の有意な減少をみた。血清サイトカインではIL4の減少、IFN-γの増加を確認。IgE抗体量の減少も確認され、SOCS1(サイトカインシグナル抑制因子1)を介した調節機構の関与が示唆された。Th1とTh2のバランスが正常化することが実験で証明された。

■水に溶解するなど加工食品への応用が容易
推奨摂取量はナリルチンとして10mg/日と少なくて済む。最終製品の風味に影響を与える心配がないためサプリメントだけでなく一般食品にも使え、水にクリアに溶解するため飲料やゼリーにも応用できる。じゃばらの果汁や果皮粉末の利用は以前からあったが、同社のエキス末が開発されたことで、食品への応用の可能性が大きく広がったといえる。

お茶やゼリーに配合した製品は既に上市され、昨年2月にはじゃばらエキス末を使ったサプリメント「アレルシールド」がキューサイから発売となった。じゃばらに対する消費者の認知度はまだ低いと考えられることから、認知度の拡大に伴う需要増にも期待がかかる。

【4月号連載】機能性表示食品の発売動向を追う(30)
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