食品素材の記事

注目の4素材について講演―食品新素材研究会

第65回 食品新素材研究会が、2月7日(金)に都内で開催された。1部「素材紹介」では、注目の4素材について各社の担当者が講演し、2部「基調講演」では識者から最近の興味深い話題が語られた。以下に紹介された素材について簡単にまとめた。

■「アンヒドロフルクトース含有水あめによる日持ち向上について」
 (株)サナス 宮崎直人
アンヒドロフルクトース(AF)は、さつまいも澱粉と海藻から生産できる糖で、AF含有水あめ「アンヒドロース®」は、AFを約30%含む水あめ。甘味度は砂糖の30%。食品の味を変えずに日持ち向上ができ、ここ最近は静菌用途での利用が増えている。

AFは、納豆菌、枯草菌、芽胞、乳酸菌、耐熱性好酸性菌、リステリア菌に、高い静菌作用を示し、弱酸性領域、糖度が高いほど効果が高まることなどが判明している。他素材との併用試験にて、醸造酢との相乗効果が高い静菌効果が得られることが判明しており、同社ではAFに醸造酢を配合した「ハツガードV」を開発した。

■海藻由来フコースのご紹介
 焼津水産化学工業(株) 相澤光輝
フコースとは、モズクなどに含まれるフコイダンを構成している糖で、ヒト母乳に多く存在し、や健常者の血清中にも存在している。

同社では、フコースに関する脂肪蓄積抑制効果をマウス試験にて確認。マウスの有意な体重増加抑制、内臓脂肪の有意な増加抑制が調べられた。さらに45名のヒト試験では、フコース(100mg、500mg)の摂取で4週間めに有意に内臓脂肪が減少した。これを受け、さらに大規模試験を進めているところ。

また、腸内環境改善効果についても調べている。フコースはムチンの構成糖でもあり、ラット試験で、盲腸内容物重量の有意な増加、有機酸産生量増加による盲腸内pHの有意な低下を確認した。

同社では、アスコフィランから多糖を抽出して製造する「マリンフコース」(SD品、結晶品)を、来年度の上市を目指して開発中。

■三陸のイサダから抽出したオキアミオイルの利用
 甲陽ケミカル(株) 足立征也
イサダ(ツノナシオキアミ)は、南極オキアミより小さく、三陸で水揚げされて、主に釣りの餌、養殖魚の餌にされている。イサダには5%の脂質が含まれており、それを取り出したのがイサダオイル。同社は「コーヨークリルGT」として販売している。

イサダオイルには、リン脂質結合型ω3、アスタキサンチン、8-HEPEが含まれている。特にω3は豊富で、吸収性に優れた形をしている。南極オキアミ由来のクリルオイルと比べるとDHA・EPA含量が高い。また、8-HEPEには肥満抑制効果が判明している。イサダオイルの高肥満効果は2016年の第37回日本肥満学会で発表されている。なお、イサダオイルの睡眠改善効果も確認されている。

■美味しく食べて健康長寿~高齢社会で生きるトレハロースの機能性~
 (株)林原 丸田和彦
トレハロースは砂糖と同じ二糖類で、甘味度は38%。林原では1995年より商品名「トレハ®」として製造・販売している。トレハロースの機能は、澱粉老化抑制、たん白質変性抑制、冷凍耐性、果実・野菜の色・食感保存、保水性など11種類と多岐にわたる。

食品への応用は和菓子、洋菓子、製菓を中心に様々に広がっている。クッキーのさくさく感の維持、唐揚げのパサつき防止、解凍時のハンバーグのドリップ抑制、野菜の乾燥抑制など応用が進む。

トレハロースは健康機能も有しており、血糖値上昇・降下が穏やかでありインスリンショックを起こしにくく、またインスリン分泌性も低い。10月にはトレハロースを関与成分とした製品が、「食後に上昇した血糖値を元に戻しやすくする機能」において機能性表示食品として受理されている。

IMCDジャパン・機能性素材分野に本格参入

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