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食用赤色3号・食用タール色素「現時点での制度変更は不要」との考え示す ―令和7年度第2回「食品衛生基準審議会」―

消費者庁は令和7年度第2回「食品衛生基準審議会」を6月25日に開催。「食品安全行政の最近の話題」内では、米国の動きを受けた食用赤色3号および食用タール色素に関する食品衛生基準審議会添加物部会(以下、添加物部会)のとりまとめが報告されるとともに、現時点での制度変更は不要との考えが示された。

質疑応答では、食品業界における輸出への影響を懸念する声があがった。これに対し、国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部部長の杉本直樹委員が回答。日本国内で使用認可がおりている天然着色料での対応を目指したいとする一方、FDA承認のハードルは今も高く、長い道のりになりそうではあると述べている。


米国における石油由来の合成着色料をとりまく動向

2025年1月15日、米国食品医薬品局(FDA)は連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)のデラニー条項に基づき、法令上の対応としてFD&C Red No.3の使用許可を取り消したことを公表。また、食用赤色3号を使用した製品について、食品は2027年1月15日まで、内服薬は2028年1月18日までに処方変更が必要であるとした。

さらに4月22日、米国保健福祉省(HHS)とFDAによって、2026年末までに米国内の食品供給から石油由来の合成着色料を段階的に廃止する一連の新たな措置と、代替となる新たな天然着色料の審査及び承認を加速する旨が公表された。それとともに食品企業に対して「食用赤色3号」の使用認可の取り消しを当初の期限(2027年)より早期に実施するよう要請している。

(詳細はこちらの記事からご覧いただけます https://www.kenko-media.com/food_devlp/8329/

食用赤色3号に関する添加物部会の見解

今般の米国食品医薬品局(FDA)による決定の公表の中に含まれる情報には、安全性の評価に影響しうる新たな科学的知見はない。食用赤色3号の使用を取り消す措置の根拠とした論文においても、ラットが発がん性を示した摂取量(2,464mg/体重kg/日)は通常のヒトの摂取量と比べて極めて高いものと指摘。とくに日本国内の食用赤色3号の推定摂取量は、0.003mg/体重kg/日から0.007mg/体重kg/日(※1)と、国際機関が設定した許容一日摂取量(ADI)を大幅に下回るのが現状だ。

この論文を含む食用赤色3号に関する国際的な評価結果においても、生体で問題となる遺伝毒性は報告されておらず、閾値の設定は可能である。よって人では安全性上問題はないと結論づけられる。

以上から食用赤色3号について「現時点で直ちに指定を取り消す又は使用基準を改正する必要はない」との考えを明確に示すとともに、引き続き科学的知見の収集に努め、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼することを検討しては、との提言がなされた。

(※1 「令和5年度マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について」(令和6年11月28日添加物部会資料)を元に算出。)

食用タール色素に関する添加物部会の見解

食用タール色素においても、国際的な評価機関(JECFA)等において、安全性の評価に影響しうる新たな科学的知見は報告されていない。また米国以外における主要国でのタール色素の取り扱いを変更する情報も現時点ではみられなかった。

国内での推定摂取量も極めて少ないことが確認されていることもあり、添加物部会では「今後も安全性にかかる科学的知見の情報や使用実態等の情報収集に努め、国際機関や諸外国における動向等も注視し、引き続き、必要に応じて対応の要否について検討していく」としている。

【参考資料3】食品安全行政の最近の話題 より抜粋

当日の資料、議事録はこちら(消費者庁HP)

https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/review_meeting_001/042666.html

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