アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)と食品医薬局(FDA)は22日、米国内の食品流通における石油由来の合成系色素を段階的に排除する方向で調整するとの方針を発表した。
HHSのプレス発表によると、FDAは以下の措置を講じることとしている。
- 食品業界が天然の代替品に移行するための国家基準とタイムラインを確立
- 数か月以内に、2種類の合成食品着色料(シトラスレッド2号とオレンジB)の認可を取り消す手続きを開始
- 業界と協力し、来年末までに、残りの6種類の合成着色料(FD&C緑色3号、FD&C赤色40号、FD&C黄色5号、FD&C黄色6号、FD&C青色1号、FD&C青色2号)を食品供給から排除
- 数週間以内に新規天然着色料(ガルディエリアブルーエキス、クチナシブルー、バタフライピーフラワーエキスなど)を認可するとともに、他の添加物の審査と承認も加速
- 国立衛生研究所 (NIH) と提携し、食品添加物が子供の健康と発達にどのような影響を与えるかについて包括的な研究を実施
- 食品会社に対し、2027~2028年の期限よりも早くFD&C赤色3号の排除を要請
FDAは、NIH栄養規制科学研究プログラムと連携し、栄養および食品関連の研究を強化し、規制上の意思決定をより的確に行うための情報提供を強化。この連携により、FDAはエビデンスに基づく食品政策の策定、より健康的なアメリカの実現、そして「アメリカを再び健康に」委員会の優先事項推進における能力強化を図る、としている。
米国の合成系色素は、日本と同様、検定制となっており、2024年度の検定数量は原体トータルで7000トン、レーキ色素で3400トン。日本の70トンと比べ、100倍以上使用されており、代替となる天然系色素への取組みでは、果物や花弁、野菜など色素原料の需給バランスなどの動向が注視される。すでに赤色3号の代替となる色素原料も高騰しており、他国への影響も避けられない情勢となりそうだ。
クチナシブルーは日本の業界団体であるクチナシ青色素申請懇話会を通じて請願書が提出され、22年6月30日に米国FDAから正式に請願書が受理されており、計画通りの措置となれば、数週間以内に飲料(炭酸飲料除く)やキャンディ、糖衣菓子等への使用認可が下りる見込み。