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【インタビュー】スノーデン、“胃には胃の乳酸菌”をテーマに新領域を開拓 胃と腸にアプローチする新規乳酸菌の提案積極化

整腸作用をはじめとした腸内フローラへのアプローチをメインとする乳酸菌が多いなか、“胃にもアプローチする乳酸菌”として胃から単離した「乳酸菌LJ88」を開発したのがスノーデン㈱(東京都千代田区)。拡大を続ける乳酸菌市場に向けて、差別化が図れる原料として独自の展開を進めている。機能性研究も積極的に実施しており、国内外からも高い関心が寄せられている。同社研究開発本部研究部長の小松靖彦氏に聞いた。

-胃にアプローチする乳酸菌とは
当社が開発した「乳酸菌LJ88」(ラクトバチルス・ジョンソニィNo.1088株)は、健康なヒトの胃液から単離された乳酸菌で、過剰な胃酸分泌抑制作用をはじめとした“胃の健康”にアプローチしている点が最大の特長です。乳酸菌原料の開発にあたり、酸に強い乳酸菌の探索を続けていたところ、健康なヒトの胃の中に生存する特異な乳酸菌を発見しました。基礎研究では耐酸性はもちろん、胃の健康増進に寄与する機能性が期待できることがわかり、本格的に開発に着手しました。また、当時市場では胃にアプローチする乳酸菌やビフィズス菌の流通は限られており、原料供給を行う企業はありませんでした。新しい領域を開拓できるという点でも当社のオリジナリティを出せる乳酸菌原料として魅力を感じました。

-機能性研究について
「乳酸菌LJ88」に関する研究はこれまでに胃酸分泌抑制作用をはじめ、動物実験では医薬品のプロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌抑制薬)投与時に懸念されるガストリン過剰分泌の抑制効果を確認しています。ヒト臨床試験では、胃食道逆流症関連症状の改善作用もわかっており、結果は学術誌「American Journal of Food Science and Health」にも掲載されています。また、殺菌乳酸菌としては他に例のない抗ピロリ菌作用も認められているのも特徴で、研究成果は英学術雑誌「FEMS Microbiology Letters」に掲載され、国内外から問い合わせを多く頂くなど、注目を集めました。

試験は、無菌マウスにピロリ菌を感染させ、感染成立後に乳酸菌LJ88殺菌体またはPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を3 週間連日経口投与して抗ピロリ菌作用を確認しました。作用メカニズムの検討のため、ピロリ菌と乳酸菌LJ88殺菌体の混合物について走査電子顕微鏡による観察も実施したところ、ピロリ菌と乳酸菌LJ88殺菌体を混合すると、共凝集することなく、ピロリ菌にダメージが与えられることがわかりました。ピロリ菌にダメージを与える作用メカニズムについては、従来報告されている「共凝集」によるものではなく、さらに生菌でもないため、乳酸等の液性因子の分泌とも異なると推測しています。「乳酸菌LJ88」細胞表面上の分子及びその構造が関与しているのではと考えております。

このほか、「新規な乳酸菌及び当該乳酸菌を使用して加工した各種製品」(第4457364号)、「胃酸及びガストリンの産生を抑制する乳酸菌」(第5075254号)として、日本、韓国、米国で特許取得済みです。

一方、腸へのはたらきについては、マウス実験で同乳酸菌の摂取により、糞便中のビフィズス菌量を増やすことを確認しているほか、このほどin vitroでもビフィズス菌の増殖促進作用を確認し、マウス実験の成果を裏付ける内容となりました。今後はこれらの研究成果をベースにさらに研究を推進していく予定です。

-今後の展開について
“胃と腸にアプローチできる”というストロングポイントが評価され、原料・OEM供給は順調に推移しております。サプリメントを中心に採用が拡大しおりますが、ドリンクや一般食品形態への配合も増えはじめています。剤型を問わずに幅広い食品への提案を強化していきます。同時に、海外市場に向けた原料・OEMの展開についても本腰を入れていく予定です。一部東南アジアでは流通実績を持っておりますが、今後さらに拡大していく計画です。特に東南アジア諸国ではピロリ菌に対する有効性について非常に高い関心を持たれており、「乳酸菌LJ88」の魅力を十分に発揮できると考えております。

スノーデン㈱  研究開発本部研究部長 生産技術研究室室長 小松 靖彦氏

 

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