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特集【食品受託試験】「機能性表示食品」進化、CRO活躍の場広がる

エビデンス・安全性データ必須の時代になった健康食品市場。そのデータを裏付けるための各種試験を請け負う「受託試験企業」は、市場に不可欠の存在となっている。各社には、体脂肪や筋肉、美容などに関する試験依頼が増加。背景にあるのはやはり「機能性表示食品」だ。認知機能など、高齢者を被験者とする試験が増えているとの声が複数の企業から聞かれた。免疫などの新表示を目指す動きも活発化している。機能性表示だけではなく、販促目的のバックデータ取得のための試験依頼もあり、食品受託試験のニーズは今後、さらに高まることが想定される。

■機能性表示食品2,300品突破7%がヒト試験で有効性評価

健康食品の安全性などを調べる「非臨床試験」、実際にヒトで有効性等が得られるかを検証する「臨床試験」は、いずれも専門知識・設備やノウハウを必要とする。これらを請け負うのが食品受託試験企業だ。顧客のニーズに応じて試験デザインを設計し、報告書の取りまとめや論文発表などに対応する。2015年に「機能性表示食品制度」がスタートしたことでその存在感は一層強まった。

機能性表示食品は瞬く間にその数を増やし、2,300品を突破。その評価は、既存の論文を評価する研究レビューか、ヒト試験で行われる。ヒト試験による評価は150件を超え、全体の7 %ほどとなっている。機能性表示食品は今年3 月末のガイドライン改正でさらなる進化を遂げた。「鼻目のアレルギー反応」「血清尿酸値」で、一部軽症者データの利用が可能になった。また、「軽度認知障害(MCI)」を健常域に含めることとした。試験デザインの幅が広がり、有力食品CROからは「各社動き出している」との声が聞かれた。

「特保成分のSRは出尽くした」との声も挙がる中、今回の改正は新規成分や新表示の受理につながるものとして期待が高まっている。また、機能性表示食品は論文に記載された内容を拡大解釈した表示はNGで、カッコ書きが入るなど表示が長くわかりづらくなるケースもある。このため、わかりやすい表示を念頭に置いた臨床試験の依頼が増加している。

■臨床研究法の影響は

2018年4 月に施行された「臨床研究法」。対象になれば厳格な試験運用が求められ、コスト・時間は従来よりかかり、企業にとっては負担となる。消費者庁はQ&Aで、食品の有効性を明らかにする目的のヒト試験は、同法が規定する臨床研究には当たらないことを説明。しかし「未承認の医薬品を用いた臨床研究」とみなされる場合はその限りではないとの注釈をつけた。

厚労省の担当官は今年7 月に行われたセミナーで、機能性表示食品の届出に必要な試験でも、疾病治療等の目的と判断されれば、臨床研究法の対象になり得ることに言及。個別判断になるとしつつ、「軽症者を対象とした研究は少し注意が必要」と述べた。食品受託試験企業は、消費者庁が示した「食品の有効性を明らかにする目的のヒト試験」に合致するよう試験デザインを設計。一方、臨床研究法に対応した試験の相談も増えつつあり、同法に対応した試験を行う食品CROも出始めている。

本記事の続きは「健康産業新聞1682号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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