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特集【EBS( Evidence Based Supplement)】QOL向上、未病対策で活用進む

国民医療費は42兆円に膨らみ、健康寿命延伸の実現が喫緊の課題となる中、EBS(Evidence Based Supplement)は、医療機関ルートや、カウセンリングを重視する相談薬局などで利用が広がっている。原料サプライヤー、販売メーカーによるエビデンスデータの蓄積も進み、医師や薬剤師と相談しながら安心して購入できるサプリメントとして消費者の関心も高まっている。さらに国は、地域包括ケアシステムの構築に向け、健康づくり支援を行う「健康サポート薬局」制度を推進。エビデンスデータが豊富なEBSの拡大が期待される。

■治療から予防へシフト免疫賦活系サプリが定番

2014年に厚生労働省から医療機関におけるサプリメント等の食品の販売を明確化する事務連絡がされて以降、「患者の療養向上」を目的に、医療機関でサプリメントを活用するケースが増えた。個人開業医や自由診療によるセカンドオピニオン外来、サプリメント外来を開設する診療所のほか、眼科、皮膚科、美容外科、内科、歯科、産婦人科などの医療法人に導入されている。

また、超高齢化社会に伴う国民医療費や介護費などの高騰が問題視される中、従来の治療から治癒率やQOLの向上に努める医療機関も増加している。がんや生活習慣病領域の治療では、近代西洋医学による対症療法では、不十分な面も少なくなく、栄養療法、温熱療法など様々な組み合せ治療がみられる。

民間調査によると医家向けサプリメントの市場規模は、ここ数年拡大しており、約175億円(TPCマーケティングリサーチ調べ)におよぶという。訴求別でみると、「免疫賦活」が3 割近くを占め最も多い。次いで「栄養補給」「目の健康維持」と続くほか、「腸内環境の健康維持」などを目的としたサプリメントの利用も進んでいると報告している。

医療機関で利用されている主な機能性素材には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、亜鉛酵母、AHCC、アガリクス、霊芝、イソフラボン、米ぬかアラビノキシラン、ローヤルゼリー、黒酵母由来βグルカン、ルテイン、プロポリス、納豆菌培養物、フランス海岸松樹皮抽出物、フコイダン、カキ抽出物、冬虫夏草――など様々ある。

ニチモウバイオティックスは、アグリコン型イソフラボン『AglyMax®(アグリマックス)』を配合したサプリメントを医療機関向けに展開。『Dr.AglyMax®+葉酸』が婦人科を中心に採用件数が増えている。アミノ酸サプリメントを展開するアウトバーンは、ペーストタイプの医療機関専売サプリメントを展開。臨床試験で抗老化作用、口腔内環境の改善作用を確認しているほか、新たな機能性研究も進めている。

原料サプライヤー、販売メーカーからは「エビデンスデータが増え、医療機関(医師)がサプリメントを選択しやすい環境になりつつある」「機能性表示食品制度もあって、サプリメントの信頼性が高まっている」「医療現場では、“治す”から“症状緩和”“QOL向上”を目的に、サプリメントを活用する動きが広がっている」との声が聞かれた。

■エビデンスが充実「健康サポート薬局」での活用に期待

健康サポート薬局制度の施行に伴い、カウンセリング重視の相談薬局などでEBSの利用拡大も期待される。厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている健康サポート薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関することはもちろん、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局をいう。

健康サポート薬局の届出数は、1,567件(2019年9 月末時点)。健康サポート機能の要件の1 つである薬剤師の資質確保では、要指導医薬品等および健康食品などの安全かつ適正な使用に関する助言、健康の維持・増進に関する相談を受け、適切な専門職種や関係機関に紹介することなどが含まれている。

 

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