『食品と開発』誌面から

伝統的発酵食品技術から学ぶ新しい微生物利用展開【食品と開発 1月号特集1】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

石川県立大学 生物資源環境学部 食品科学科 食品微生物学研究室 准教授 小栁 喬


発酵食品は大変古くから存在し、人類の歴史の中で数多くの品について記述が残されている。例えば酒は世界中で消費されてきた飲料であるため製造の記録や痕跡も多く残され、少なくとも8000年~9000年くらいは人類に親しまれてきたことが知られる。人類にとって伝統発酵食品について知るということはこのような連綿と伝えられてきた醸造発酵技術の「過去」を紐解くということであり、looking back的な意味合いが強いということになろう。

しかしながら、このような長い歴史を刻んでいるにもかかわらず、伝統発酵技術の中に秘められた科学的な謎は未だ全て解き明かされてはいない。伝統発酵食品は微生物の力によって出来上がる食品であることは論をまたないが、発酵中の微生物挙動については細かい点は解っていないことも多く、例えば発酵工程において増殖する微生物それぞれがどこに由来するかといった単純な問いについても、実は一貫した答えは得られていない。原料を仕込み決まった条件で置いておくと、いつしか微生物群がある程度の選択性をもって増殖し、発酵作用を発揮してくれる。

すなわち、伝統発酵食品というのは自然に形成される複雑な微生物コンソーシアムの存在を前提としており、その中からいかに食品造りに役に立つ微生物を選択的に増殖させ優勢化させるかという、微生物制御技術の洗練化に対する不断の努力の結晶として、現在の姿を見ているのである。

🔒この記事は雑誌に収録されています。

続きは『食品と開発』2026年1月号にてご購読いただけます。

食品と開発 2026年1月号

【2026年1月号】伝統的発酵の解明から新たな発酵デザインへ

『食品と開発』誌面から

【2026年1月号】伝統的発酵の解明から新たな発酵デザインへ

伝統的発酵食品を支える微生物たちとその機能の開拓【食品と開発 1月号特集2】🔒

関連記事

  1. サトウキビ 発酵性食物繊維イヌリン「Fuji FF」「Fuji FF HS」…
  2. 食品と開発7月号特集2 微生物制御による賞味期限延長と食品ロス削減【食品と開発 7月号特…
  3. 食品と開発2025年8月特集1 農林水産省における食品産業の生産性向上に向けた取り組み~食品産業…
  4. A bottle of milk with a green farm in the background. 世界が注目:科学的アプローチで見る乳たんぱくの多面的ベネフィット…
  5. 【2025年11月号】特集/可溶化・安定化・吸収性向上素材と技術 リポソーム化粉末が拓く有用成分の生体利用率向上:吸収困難なビタミ…
  6. supplement 最新の健康食品の市場動向と素材&技術研究 ~主要素材、機…
  7. plant 健康食品の受託製造企業の動向【食品と開発 3月号市場動向】&#x…
  8. チョコレート 酵母エキスのカカオ原料代替への利用【食品と開発 12月号素材レポ…

お問い合わせ

毎月1日発行
  年間購読料 33,000円(税込)
      1冊 3,300円(税込)

食品開発展2026

PAGE TOP