執筆者
㈱プロテックス 企画開発事業部 須賀 新太郎
はじめに
食品衛生管理において、ノロウイルスは最も対策が困難な危害要因の一つである。感染力が極めて強く、ごく少量のウイルス粒子(10~100 個程度)でも発症に至ると言われている。また、乾燥や酸、一般的なアルコール消毒に対しても耐性を示すことから、食品製造現場や集団調理施設において、その不活化は最優先課題となっている。
ノロウイルス対策の有効性を評価する際、最大の障害となるのが「ノロウイルスの培養系が確立されていない」という現状である。ヒト腸管細胞を用いた培養系の報告はあるものの、高度な技術と設備が必要となることから、一般的な不活化試験(抗ウイルス試験)では、代替ウイルスとしてネコカリシウイルスやマウスノロウイルスを用いた「培養法(プラークアッセイ法))」が長らく主流であった。しかし、代替ウイルスはあくまで「近縁」であり、ヒトノロウイルスそのものの耐性や挙動を再現しているわけではない。
本稿では、我々が開発したノロウイルスそのものの構造を持つ「ノロウイルス粒子」と、迅速な「ELISA 法」を組み合わせた世界初の不活化試験キットについて、その原理と、電解水を始めとする消毒手段への有効性評価への適用事例について解説する。
1.従来の評価法の課題と新技術の必要性
…
🔒この記事は雑誌に収録されています。
続きは『食品と開発』2026年3月号にてご購読いただけます。













