(一社)全国大麻商工業協議会(略称:全麻協、東京都渋谷区)は2025年4月23日、CBD、CBG、CBNなどのカンナビノイドを含む食品製品に関する包括的な「カンナビノイド含有食品に関するガイドライン」を発表した。2024年12月に施行された改正大麻取締法を受け、CBD製品の合法流通が拡大する中で、消費者保護と事業者の責任ある流通の確立を支援することが狙いだ。
すでに2024年末には、分析検査機関による業界団体からもガイドラインが発表されているが、今回の全麻協による策定は、事業者団体による実務運用を前提としたガイドラインとしては全国規模で初の体系的なものであり、製造・表示・広告・販売・流通の各段階における具体的な基準を網羅している点で注目される。
ガイドラインは、製品表示、安全性評価、広告表現、販売管理、保管・流通、法令遵守など7つの柱で構成され、項目ごとに具体的な運用基準を提示。とくに、成分表示や分析証明書(COA)の明示、妊娠中・授乳中の使用制限、THCの非含有証明の義務化など、食品としての信頼性確保に主眼が置かれている。
表示ルールにおいては、CBD・CBN・CBGといった成分名の明記に加え、由来や含有量の表示を定量的かつ統一的に行うことを求めており、消費者の誤認防止を図る。また、製品に含まれる成分の分析値と表示値の乖離は±10%以内に収めるとする厳格な基準も示された。
安全性に関しては、重金属・農薬・微生物の残留試験を原材料段階で義務付けるとともに、製品ごとの第三者検査を推奨。ISO認定などの信頼性の高い検査機関による試験を通じて、客観的な品質保証の担保を目指す。
広告・表示における留意点も具体的に示されており、「病気が治る」「即効性がある」といった薬機法・景品表示法に抵触する表現を明確に禁止。公序良俗を損なう表現や未成年者の利用を助長する内容にも厳しく対処するよう促している。
販売においては、VAPE製品を20歳未満に販売しないことを徹底。他の食品形態(オイルやグミ等)についても未成年への販売自粛を推奨し、妊娠中・授乳中の使用制限をパッケージ等に明記することを義務付けた。小児の誤飲を防ぐ目的で、チャイルドロック式容器の採用も推奨されている。
全麻協では、今回のガイドラインを業界の共通基盤とし、関係省庁や消費者団体との連携を深める考えだ。今後は定期的な内容の見直しや、会員事業者向けの研修会・セミナーも予定しており、カンナビノイド食品の健全な普及に向けた啓発活動も強化する。