消費者庁は第1回令和7年度食品表示懇談会を6月5日に開催し、新たに旧食品衛生法(以下、旧食衛法)に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて検討することを明らかとした。主な利用者と考えられている都道府県等の地方自治体や事業者側へのヒアリング等を行い、10月を目安に改正の方向性を検討する。

今回の新たな見直しは、令和6年度に開催された「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」で出た意見を受けたもの。同分科会では旧JAS法由来事項(品質表示事項)のみをヒアリングの対象としてきたが、一部業界団体より旧食衛法由来の衛生事項についても見直しの要望が出ていた。また容器包装上の義務表示拡大に伴い食品表示が複雑化しているなか、消費者にとって有益な情報以外の表示義務付けは縮小すべきという考えがある。
見直し対象は旧食衛法由来事項 別表第19、20(加工食品の個別ルール関係)とし、生鮮食品についてはこれまで通り対象外とされている。
個別品目ごとの表示ルールの見直し検討対象(案)
(対象範囲)
①即席めん類(即席めんのうち生タイプ即席めん以外のものをいう。)
②無菌充填豆腐(食品、添加物等の規格基準第1食品の部D各条の項の豆腐に規定する無菌充填豆腐をいう。)
③食肉製品(食品衛生法施行令第13条に規定するものに限る。)
④乳
⑤乳製品
⑥乳又は乳製品を主要原料とする食品
⑦鶏の液卵(鶏の殻付き卵から卵殻を取り除いたものをいう。)
⑧ゆでがに
⑨魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び特殊包装かまぼこ
⑩ふぐを原材料とするふぐ加工品
⑪鯨肉製品
⑫冷凍食品
⑬容器包装詰加圧加熱殺菌食品
⑭缶詰の食品
⑮水のみを原料とする清涼飲料水
⑯果実の搾汁又は果実の搾汁を濃縮したものを凍結させたものであって、原料用果汁以外のもの
(対象外)
A食肉(鳥獣の生肉(骨及び臓器を含む。)
B切り身又はむき身にした魚介類(生かき及びふぐを原材料とするふぐ加工品を除く。)であって、生食用のもの(凍結させたものを除く。)
C生かき
旧食衛法由来事項については、食品衛生法に表示基準があった時代から、飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止や、消費者に対する食品の特性の伝達等の観点からその役割を果たしてきた。しかし、横断的な表示基準が策定されたことで他の表示事項から判断が可能なものもあり、時代とともに役割を終えつつある。
また冷凍食品の「凍結前加熱」や乳製品の「包装後加熱」が調理方法と誤認されかねない等、旧食衛法由来事項に基づく表記の中にはかえって消費者の混乱をまねく表現があるとする意見もあった。