『食品と開発』誌面から

酸化安定性と吸収性を改善したサジーオイル-シクロデキストリン包接体粉末【食品と開発 10月号素材レポート】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

㈱シクロケムバイオ
石田 善行、近本 啓太、行武 詩織、Buyanmandakh Buyankhishing、中田 大介、寺尾 啓二


はじめに

サジーはグミ科ヒッポファエ属(学術名:Hippophae rhamnoides L.)の植物で、ユーラシア大陸で広く自生しており、その呼称は各国様々でモンゴルではチャチャルガン、中国や日本ではサジー、英語圏ではシーバックソーンやシーベリーと呼ばれている。また“Hippophae”は“ 輝く馬”という意味があり、これはサジーを食べた馬の毛並みや肌が輝くように美しく見えることが由来とされている。サジーの果実はビタミンA・C・Eや鉄分などを多く含んでいるだけでなく、カロテノイド類やオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸といった不飽和脂肪酸も含まれている。サジー果実はジュースとして、果実オイルはサプリメントや化粧品として利用されている。

サジー果実オイルの特徴としてはパルミトレイン酸(POA)を多く含んでいることであり、POAはマカダミアナッツにも含まれることで有名だが、サジーの果実にはマカダミアナッツの約2.5倍ものPOAが含まれている。オメガ7脂肪酸であるPOAの摂取は血糖値や血中脂質を低下させる作用、抗酸化作用、心血管保護、アトピー性皮膚炎の改善、肌の老化を抑える、ドライアイや目のかゆみの抑制など様々な作用を有することが確認されている。

さらにサジーオイルに含まれるα-カロテン、β-カロテン、クロセチンといったカロテノイドの中でもβ-カロテンは機能性関与成分としても知られており、強い抗酸化作用を有し、紫外線刺激から肌を保護するのを助ける作用が報告されている4)。このようにサジーオイルはスーパーフードとして注目されているが、サジーオイルに含まれるカロテノイドやPOAは酸化安定性や吸収性、溶解性が低いことが問題となっている。それらの問題を解決できれば、より汎用的な機能性食品成分としての健康増進効果が期待でき、新たなサジーオイル加工品への利用につながると考えられる。

シクロデキストリン(CD)はD-グルコースがα-1,4グルコシド結合で環状に連なった構造を持つ環状オリゴ糖である。食品として利用されているCDはα-CD、β-CD、γ-CDであり、それぞれグルコースの数が6、7、8個で構成されている。CDは底のないバケツのような形をしており、その環状構造内部に脂溶性の物質を取り込む(包接する)ことができる。包接の効果としては、熱や光に不安定な物質の安定化、脂溶性物質の水溶性・分散性向上、揮発性の制御、臭い・苦味の低減、生物学的利用能の向上などの作用があり5)、様々な食品・日用品に利用されている。

さらに3種類のCDのうち、α-CDは食物繊維としての性質を有し、食後血糖値の上昇抑制や血中脂質(TG 値、LDLコレステロール、小型LDLコレステロール)の低減、プレバイオティクスなど様々な作用を有する。また、CD自身が乳化作用を有しているため粉末油脂の賦形剤として利用でき、実際に我々は魚油に対してCDを用いることで、魚油の匂いを低減し、酸化安定性の高い粉末を開発した。

🔒この記事は雑誌に収録されています。

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