ファンクショナルフード学会は1月24日、25日の2日間、東京都千代田区の順天堂大学本郷・お茶の水キャンパスで「第22回ファンクショナルフード学会学術集会」を開催した。今回のテーマは「機能性食品素材のフロンティアを切り拓く:新規価値創出に向けて」。薬学領域から機能性食品を考えるとの視点から、機能性食品の活用法と有用性について講演が行われたほか、様々な角度からの研究成果を中心とした演題が盛り込まれ、若手研究者からの講演発表も行われた。

初日の講演では、大会長の染谷明正氏(順天堂大学薬学部分子生物学)が「グルコサミンの抗炎症メカニズム解明を目指して」と題し講演。ヒト滑膜細胞株MH7Aを用いてグルコサミンの炎症抑制効果を調べたところ、グルコサミンが軟骨破壊に関わる酵素の遺伝子や炎症性サイトカイン遺伝子の発現を抑制し、これらタンパク質の産生を抑制したことを確認。炎症性サイトカイン遺伝子の発現は、タンパク質のO-N-アセチルグルコサミン修飾を介した抑制機構と介さない抑制機構があるとし、炎症反応などを制御する転写因子タンパク質NF-κBシグナルを抑えることで、炎症性サイトカインIL-8産生を低下させることが推測された。
そのメカニズムとして、NF-κBの上流タンパク質であるIKKβをO-N-アセチルグルコサミン修飾することで、下流のIκBaの分解やNF-κBの核移行を抑制し、IL-8 mRNAの発現を低下させることが考えられた、とした。また、炎症研究として、慢性炎症が基盤となって起こる老化に着目し、異なる表現型の老化細胞を使って、それぞれの機能、役割および誘導メカニズムを調べ、老化・加齢性疾患メカニズムを解明していきたい、と述べた。
また、シンポジウムでは順天堂大学薬学部で生薬・天然資源学、医薬品化学、機能形態学を専門とする3氏が研究成果について講演。「食経験・伝統医療に基づく植物由来成分の機能性探索」と題して、杉本幸子氏が線虫を使った植物エキスの機能性(アンチエイジング、抗アルツハイマー、脂肪蓄積活性)に関する研究成果を概説したほか、「ケミカルプローブの開発を志向した食品由来生物機能性分子の精密有機合成」を田中浩士氏、「慢性炎症に関与する食品由来非ヒト型シアル酸の腸管吸収機構の解明」は南彰氏が講演した。
2日目の一般演題では、「冬虫夏草菌糸体抽出物の投与が長距離ランナーの貧血マーカーに及ぼす効果」(順天堂大学医療科学部・長岡功氏ほか)、「グルコサミン製品を日常的に摂取している中年日本人の腸内細菌叢の調査」(公益財団法人東洋食品研究所・新谷知也氏)、「骨格筋細胞における分岐鎖アミノ酸の筋形成制御作用の検討」(東京農工大学大学院工学府声明工学専攻・春日井智也氏ほか)などをテーマに、研究者からの研究成果が発表された。
このほか、ランチョンセミナーでは、甲陽ケミカルが「キチンを原料とする食品材料」と題して講演。グルコサミンのスポーツ領域における関節ケアや、キトサンのマイクロプラスチックの体外排泄作用などにおけるエビデンスデータを紹介した。













