DHA・EPA協議会は、5月21日に都内にて第28回通常総会および講演会を開催した。
総会では、令和6年度の事業報告や決算報告、令和7年度の事業計画などについて議論された。協議会会長 鷹谷公博氏は最初の挨拶で、「DHA・EPAは我々の健康にとって欠かせない素材である。機能性表示食品では、中性脂肪低減と認知機能サポートの機能性で受理が進んでいるが、急速に進む高齢社会では認知機能サポートの重要性は高い。2009年以降、魚の摂取量が肉の摂取量を下回り、円安や物価高騰など様々な要因でDHA・EPAの摂取がしづらい状況にあるなかで、様々な摂取方法を普及していくことが使命と考えている」と語った。

続く講演会では、2名の講師による講演が披露された。
■食の未来を創る3Dフードプリンター:凍結ゲル粉末技術と介護食・病院食、代替魚介ずしまで
山形大学 工学部 機械システム工学科 教授 古川英光氏
ゲルや粉末を原料にレーザー加熱により造形するという3Dフードプリンターの方式を紹介。レーザー方式であるため、“中央に穴の開いたサイコロ状ウニ”のような食品を作ることも可能になる。また、3Dプリンターで作成したものが、温度などの外部刺激によって変化する「4Dプリンティング」では、“動くお寿司”も可能になるとのこと。
フードプリンターの材料としての食材をどこから調達してくるかも重要で、形や色が流通に不向きな廃棄農産物や未利用食材を粉末化して応用することでフードロス削減にもなる。

■動脈硬化から身を守る~脂質異常症の重症化予防と脂質栄養~
東京慈恵会医科大学付属柏病院 病院長・臨床検査医学講座教授 吉田博氏
日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定委員の一人として、脂質と脂質異常の重症化予防を担当。食事摂取基準について策定の方向性など細かく解説しながら、脂質に関する話題を披露した。
脂質としてひとまとめにするのではなく、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸など、脂質の質についても目を配る必要がある。EPAの摂取量の減少と共に動脈硬化性疾患死亡率が上昇してきたというデータや、メタ解析では飽和脂肪酸の摂取を減らすことで動脈硬化が減少することが調べられている。脂質異常症の治療は、魚や大豆の摂取が動脈硬化性疾患予防に推奨されており、実行できそうなことから始めるのが大事である。
