消費者庁は、20日に令和6年度第2回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会において、細胞培養食品に関する今後の議論の方向性を示した。その内容に対し、出席した委員、参考人からは様々な意見が挙がった。
消費者庁からは、FAO/WHOが示した細胞培養食品の4つの製造工程(細胞の調達→生産工程→収穫工程→食品加工)を基に、まずは各工程で想定されるハザードを洗い出すことが提案された。これに対し出席者からは、「収穫は細胞培養のプロセスの中にあるため、生産工程と収穫工程を分けることに違和感がある」、「生産と収穫は1つの工程と考えたほうが良いのではないか」、という意見が複数あった。また、「4つの工程に分けてしまうことで、その工程外にあるリスクを見逃してしまうリスクはないのか」という疑問もあがった。さらに、複数の工程で共通するハザードについては、工程別だけでなく由来別で考えるなど、横断的な議論を行い、効率良く整理していくべきだという方向性も示された。
また、積極的な議論が起こったのは、現在仮に「細胞培養食品」としているものの定義と名称についてだ。国として各省庁共通の定義と名称を定めるべきであるという意見が多数あがった。どちらも国際的整合性を考慮するという方向性はあるものの、国際的にも未だに答えが出ていないのが現状。定義については、FAOが2023年に文書内で示してはいるものの、曖昧な定義ではないかとの指摘もある。名称については、アカデミアの場では、かねがね「培養」という言葉は一般消費者にとって受け入れづらいと言われていることから、「細胞性食品」という言葉が広く使われているという。今後、製造者目線の販売のしやすさ、国内消費者からの受容性、国際的整合性、など様々な観点から議論がされていくことだろう。
他にも、健康な人が食べるという前提を持ちながらも、「免疫異常や生活習慣病などの疾病がある人」が細胞培養食品を食べることのリスクについても、考えていくべきだという意見もあがった。細胞培養食品は、特定のアミノ酸を多く含有するなど健康に関してポジティブな側面も期待される中、食事に配慮をする必要がある人が食べたときに与えうるリスクについても、食品表示の話も含めて今後議論が行われるかもしれない。