行政・業界ニュース

連載【追跡話題】海外セレブ注目の若返りサプリ「NMN」 国内での食品利用に期待高まる

昨冬、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)が非医薬品リストの新規候補となった。NMNは、アメリカや中国では既にサプリメントとしての利用が進み、国内外のセレブの間で新たなエイジングケア素材として注目を集めている。国内では、昨年5月に帝人グループのサプリメントメーカー、NOMONがNMN配合サプリを上市したことが話題になるなど、NMNへの関心は高まっている。

厚生労働省は、昨秋、食薬区分の一部改正について意見募集を開始し、非医薬品リストとして抗老化作用を持つNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を新規候補に挙げた。弊紙が昨年12月に行なった健食受託製造企業へのアンケート「人気受注素材ランキング」でも、19年下期実績、20年上期予想の両方でNMNの名が挙がるなど、ホットなキーワードだ。NMNは、母乳や枝豆、ブロッコリー、アボカド、トマトなどに含まれる物質。

体内での合成については、食品中に含まれるビタミンB3(ニコチンアミド)を材料にNMNがつくられる。またNMNは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の前駆体であり、最近の研究で、NADは長寿遺伝子群(サーチュイン)を活性化することが確認されている。なかでもワシントン大学医学部の今井眞一郎教授を中心に研究が進められ、同氏の最新研究では、NMMに顕著かつ広範囲な抗老化作用があることがわかり、血液循環中に存在するNDA合成系酵素「eNAMPT」が、老化・寿命の制御に重要な役割を果たしていることが確認された。

こうした研究成果から、アメリカや中国では既にサプリメントとして多くの商品が流通している。「若返りサプリメント」と称され、セレブが好んで利用しているという。日本では、実業家の堀江貴文氏がラジオ番組で愛用しているとの発言もあり、話題に。国内サプリメントの状況は、昨年5 月に帝人のグループ会社NOMONがNMN配合サプリメント『ナダルタス®』を上市。1 粒あたり125mgのNMNを配合し、原料から最終製品まで日本国内で一貫製造したという。1ヵ月分で15万円という価格設定もあり、業界を賑わせた。同社CEOの山名慶氏は、「健康寿命延伸の起爆剤として国産NMNに期待したい」と意気込む。

このほか、新興和製薬の『NMN PURE』シリーズや、ノルデステの『NMN Sirtuin』など、ネット通販で注目が集まっている。食品利用への期待が高まる一方で、ネックになっているのが原料価格。高額原料として知られるが、なかには1 キロ当たり100万円近くするものもあるという。

また、品質面、安全面での懸念も。原料の多くは海外産であり、輸入品のなかには製造工程が不明瞭な原料があることを不安視する声もある。国内大手商社では、NMNの取り扱いを様子見するなど慎重な動きもみられる。若返りサプリとして話題性抜群のNMNだが、食品としての利用拡大にあたっては、安全性や、トレーサビリティの担保が今後の課題となりそうだ。

 <関連記事>

・連載【話題追跡】高成長続く薬系ルート、物流含むサプリメント提案に変革の兆し

・連載【話題追跡】DNSサプリから禁止指定成分が検出、製造工場の審査基準に疑問

・追跡【話題】健康のワンスプーン「アマニ油」、市場規模100億に

受託製造企業ガイドブック2017健康産業新聞a2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳細はこちら!

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP