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【単独インタビュー】オーラルヘルスに効果的、「L8020乳酸菌」の 研究開発を推進

L8020 乳酸菌(ラクトバチルスラムノーザスKO3株)は、ヒト由来のため口腔粘膜上皮に安定して定着することができ、抗ウイルス関連の遺伝子発現を促すことが確認されている。ヨーグルト、サプリ、抗菌スプレー、ペットサプリなど様々な製品に活用され、機能性表示食品の届出も進んでいる。またコストを抑えたスプレードライ末でも代謝物の活性を阻害しないことが明らかとなり、大量生産が可能に。国内外でさらなる利用の拡大が見込まれる。同菌の研究を進める広島大学大学院教授の二川浩樹教授に話を聞いた。

 

―― L8020菌は、接触感染の予防に繋がるか?

 接触感染は、口腔粘膜上皮にウイルスが付着することで引き起こされる。L8020乳酸菌は、人口腔内を由来とする菌体であり、他の乳酸菌に比べて、口腔粘膜上皮への接着率が高く、口腔内の上皮細胞に存在するタイトジャンクションを強化することで、病原菌、毒素など外来異物の侵入を「バリアする機能」を高めることが明らかとなっている。

 口腔粘膜上皮にL 8020菌を与えて、DNAマイクロアレイ発現した遺伝子を網羅的に解析した試験では、多数の抗ウイルス関連の遺伝子が確認され、上皮細胞の抗ウイルス免疫系が賦活することが示唆された。

―― 菌の製造面の研究について
従来、L8020乳酸菌の製造にはフリーズドライ法が利用されていたが、現在は、スプレードライ法が用いられている。我々は、プロバイオティクスを口腔内に応用し、スプレードライ法を用いて菌を大量に製造しても、菌が代謝するバクテリオシンの活性を阻害しないことを確認している。

 海外では、原料の価格・コスト面での競争が生じていたが、コストを抑えて菌を提供できるようになったことで、日本よりも国民の平均所得が低い国でもL8020乳酸菌入りの製品が利用されるようになった。

―― 機能性表示食品への活用は?
生菌としては菌体数で機能性を担保できるため、既にヨーグルトが受理されている。一方で、死菌の場合はバクテリオシン(代謝物)を定量し、機能性を担保することが必要となる。我々は、kog 1、kog 2という2 つのバクテリオシンを、すでに発見しているが、分子量が小さいため、その定量には至っていない。現在は、複数のバクテリオシンの中から、分子量が大きいものを探し出し、定量するために試行錯誤を続けている。

―― 今後、利用が期待される分野は?
ヨーグルトやタブレットなど機能性食品に加えて、口臭対策のマウススプレー、マウスウォッシュ、コスメ、ペットサプリ(中型犬用、小型犬用)、ペット用ヨーグルトなど、様々な製品に利用が広がっている。

 同菌には、ブドウ球菌、マラセチア菌(カビ菌)への抗菌作用に加えて、女性膣内や、皮膚表面の細菌叢にも効果を発揮するため、口腔ケア以外にも様々な効果が期待されている。健康食品のほかに製菓や化粧品などにもL8020乳酸菌の利用が広がればと期待している。

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