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市場規模、前年比3.2% 増 の197億円(特集/水素)

本紙が今回、2020年度の水素商材の市場動向について調査した結果、市場規模は197億円(前年比3.2%増)と、2年連続で成長した。ただ、昨年および今年上期の調査から、200億円台への回復も見込まれていたが、新型コロナの影響が成長率を鈍化させた。今期は引き続き、水素ガス吸入器や水素化粧品類が好調、家庭用の水素水サーバー・生成器なども健闘した。一方、新型コロナの影響で健康・美容施設、宣講販などでの展開、また海外展開にはブレーキが掛かった。来期の経営見通しについては、54%が「良くなる」と回答。withコロナ禍、国民の健康意識の高まりを追い風に、200億円市場への回復に期待される。

2年連続の市場成長も、格差広がる

本紙では今回、水素商材の主要メーカーを対象に取材およびアンケート調査を実施、37社から回答を得た。37社の売上高の合算をベースとした2020年度の水素商材の市場規模は、推計197億2,700万円(前年比3.2%増)となり、僅かながらも2年連続で市場は成長したことがわかった。

ここに日本トリムやパナソニックなどが電解水素水生成器として販売する「アルカリイオン整水器」を加えると、市場は350億円前後と推計される。

2020年度の経営状況について、「良かった」との回答は、昨年調査より20ポイント減の27%、増収企業も26ポイント減の30%に留まった。一方で、増収企業の7割が2ケタ増収を達成した。

ここ数年の傾向として、売上高の大きい企業ほど増収率が向上し、売上高の小さい企業の減収が続いており、企業間での格差がより広がっていることがうかがえた。

水素吸入器と水素発生原料、好調維持

今年好調だったアイテムは、昨年と同様に水素ガス吸入器だった。なかでも今年は、中国で新型コロナの治療サポートに用いられたことや、6月には中国・広州医科大学のWei-Jie Guan氏らの研究グループが、多施設共同オープンラベル臨床試験で、水素・酸素混合ガスの吸入による新型コロナ患者の重症度と呼吸困難を改善効果について論文を発表したことなどが話題を集めた。

主要メーカーへの聞き取りでは、水素ガス吸入器の市場規模は、出荷金額ベースで約25億円となり、前年比で約3割拡大した。現在、大型機種は統合医療を実践するクリニックで治療サポートとして導入が進んでいるほか、治療院やエステサロン、リラクゼーション施設などへの導入が目立つ。

また携帯型や卓上型は、アスリートや芸能人への普及が進んでおり、彼らが発信するSNSを通じて個人ユーザーも徐々に増加している。

今回の取材からは、複数のメーカーが来春を目途にコンパクトサイズの家庭用を上市する計画で、さらなる市場活性化に期待される。

水素発生原料も好調をキープした。なかでも昨年来、理美容室で業務用・物販用として水素ヘアトリートメントが人気となっており、原料サプライヤーのもとには、トリートメント用のバルク・OEM供給依頼が相次いだ。また今年は、新型コロナ禍で在宅勤務の増加を受け、入浴する人が増えており、入浴剤全体の売上が伸長、水素入浴料も好調だった。

ほかにもフェイスマスク向けなど、化粧品用途での供給量が大きく伸びた。さらに、巣ごもりの増加や国民の健康意識の高まりを受け、家庭用の水素水サーバーや水素水生成器(整水器含む)も健闘した。

新型コロナで成長率にブレーキ

今回の調査では、新型コロナで「悪影響があった」との回答が43%に上った。

なかでもフィットネス・スポーツ施設やエステサロンなどの健康・美容施設をはじめ、宣講販などの対面販売ルートでは、緊急事態宣言に伴う営業自粛や三密を避ける風潮の中、出店計画の後ろ倒しや見直し、集会やセミナー中止等が相次ぎ、これらチャネルで展開するメーカーの業況にも影響が出た。

また、イン・アウトバウンド展開に…

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