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機能性表示の具現化で、またもや失望の声

 先月2 日の検討会では、消費者庁が「有用性の科学的根拠となる条件」などについて、概要を提示した。内容は、対象食品、成分、対象者、機能性表示、エビデンスなどに及び、それらの説明に大半の時間が割かれた。ビタミン・ミネラルの取り扱いや、UMIN登録などの新たなハードルが示されたが、これらは外資系企業の市場参入を防げるもので、同時にトクホ並みに引き上げられたハードルは中小企業には、超え難いものとなるなど、機能表示議論への失望感が一挙に高まっている。次回は、産業界の声も届けられるものと見られるが、学識者からも多くの批判の声が上がっており、実現可能な制度への合意形成も必要と見られる。
 先ず、外資系企業などが関心を寄せていたビタミンやミネラルは、摂取基準のあるものは機能表示の対象から外れた。ビタミンDやC、Eなどに期待を寄せていた関係者の失望も大きい。ビタミンDの相次ぐ知見や世界的な評価の高まりに逆行する提案となった。ビタミンDは高齢化や未熟児・低体重児のD欠乏やインフルエンザ対策など、ホルモンのような機能が注目され、摂取基準値にとどめては、高齢化先進国の健康政策に支障をきたすのではとの批判も多い。またビタミンCやEなどの新たな知見もあり、30年前の栄養学的な視点からの摂取基準ベースでは、世界一どころか栄養学的な後進国になってしまうと、落胆の声が相次いでいる。


 一方で、最終製品でのヒト試験の提案では、結局トクホと同じ事で、安倍スピーチにある中小企業対策とは程遠いハードルの高いものになってしまうと、産業界からの不満や落胆の声も相次いでいる。これまで、素材ベースでの検証という認識があったが、いきなり個別商品のヒト試験となると、検証済みの機能素材を利用した様々な商品の登場も阻まれる。
 また、突如持ち出されたUMIN登録についても、既にヒト試験を終えている企業は頭を抱え、取り組みを進めようとする企業からは、そもそも疾病を対象とした医薬品の研究で、健常者の研究でも使えるのかなどの問い合わせも。安全性議論も、厚労省はフローチャートで十分としているにもかかわらず、サプリ剤型の過剰摂取試験に5 倍量が暗示されるなど、ハードルは回を重ねるごとに高くなり、身動きができなくなりつつある。
 医薬品の通信販売も抵抗勢力に押し戻された経緯があるが、食事摂取基準が出てきたり、日本医師会の健康食品批判(近々詳細紹介)なども相次ぐ中、機能性表示制度について、安倍改革の歯車を逆転させる動きとならぬよう、次回の調整を期待したい。

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