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【特集】化粧品開発最前線 インバウンド追い風 市場回復


新機能性原料、新キーワード続々

 インバウンドや消費者の高付加価値志向などを背景に、化粧品出荷額はピーク時の1兆5,000億円に迫る回復を見せ、出荷単価も上昇。海外展開の加速などもあって、市場拡大への期待が高まっている。20~30代の若年層にも浸透した「エイジングケア」は依然高い人気を誇るほか、最近では「幹細胞コスメ」やブルーライトや近赤外線に着目した光老化対策など、新たなカテゴリーにも注目が集まっている。



インバウンドで市場回復

 
 中国人の7割が化粧品購入経済産業省の生産動態統計によると、化粧品の国内工場出荷金額は1997年の 1 兆5,189億円をピークに、2004~2008年は同程度を堅持してきた。リーマンショックや震災で 1 兆4,000億円ほどまで減少したものの、ここ数年で市場は改善に転じ、ピーク時に迫る回復を見せている。体感性の高い幹細胞コスメ、天然由来素材を使用したオーガニック・ナチュラル化粧品など、高付加価値製品を求める消費者も増えており、出荷単価も上昇している。
 また訪日外国人によるインバウンド市場の拡大も、化粧品業界にとって追い風となっている。2015年の訪日消費は 3 兆4,771億円(前年比71.5%増)で、そのうち中国人観光客の消費は全体の約 4 割、1 兆4,174億円を占める。品目別購入率および購入者単価の「化粧品・香水」を見てみると、全国籍・地域の平均で購入率39.9%、購入者単価 2 万7,545円であるのに対し、中国は71.4%、4 万6,978円。韓国や台湾、香港からの旅行者も30~40%程度が「化粧品・香水」を購入しており、インバウンド が 市 場 回 復 の 一 つ の 要 因 に 。 特 に「MADE IN JAPAN」は人気が高く、国産の高機能化粧品が求められている。このほか、2020年の東京五輪開催決定やビザ緩和対象国の拡大などもあって、イスラム圏を含む東南アジアからの旅行者も増加。ハラール認証コスメも注目されている。

美容商品「売る条件」「売れる条件」は?

 
 先月開催された「健康博覧会2016」では、「消費者が、売り場が求める『美容商品づくり』を考える~売る条件・売れる条件とは」と題したセミナーを実施。日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営する㈱アイスタイルの取締役・山田メユミ氏、オーガニックマーケット主宰・佐藤久美子氏がディスカッションを行った。
 昨今の消費者動向について、山田氏は「誰にでも提案するものは、選ばれない」とし、「思い入れを持ち人に伝えたくなるようなコミュニティ戦略を、(商品の)コンセプト段階で考えるべき」と指摘。佐藤氏は、「どう新しいか」「(使用して)どうなるのか」「どう記憶に残るのか」「分かりやすさ」の重要性を説いた。購入後「自宅のどこに置く(飾る)のか」も女性には重要なファクターであり、ストーリーメイキングからパッケージまでを含め売るところまでを考えた戦略が必要との意見も。そして、2016年のビューティキーワードとして、自分自身の“基礎美力”を引き出す「スマートケア」「底上げ美容」が挙げられた。

「幹細胞コスメ」が急上昇

 
 新たな“光老化”対策も現在、人気急上昇中なのが、2014年に厚生労働省より化粧品原料として認可された「ヒト脂肪順化培養エキス」。2015年には同素材を配合したコスメが多数上市され、今年の動向にも注目が集まっている。
 また、光老化にも新たな対策が求められている。これまでの紫外線に加え、パソコンやスマートフォンから出る380~500nmの波長の人工的可視光線「ブルーライト」、さらに波長が長く紫外線よりも肌の奥に届く「近赤外線」が、日焼けを引き起こし光老化につながることが浸透。女性誌などでも取り上げられ、屋内での“日焼け止め”の重要性が認識されたことで、国内外のメーカーから「ブルーライト」「近赤外線」対応のコスメも上市が相次いでいる。

新たな機能性原料続々 OEMも提案活発化

 
 日光ケミカルズでは高度な技術を反映した『NIKKOL NIKKOMIX』『NIKKOLニコムルス』の各シリーズを提案。昨年上市した『NIKKOL ニコムルス41ECO』はエコサート・コスモス基準登録原料のO/W乳化剤で、国内外から引き合いも多い。
 岩瀬コスファは、多機能なスキンケア製品の製剤課に有用な『Avalure™ Flex-6Polymer』を展開。サンケア用途では、耐水性や耐砂性、乳化物安定など様々なメリットがあり、低い配合量と原料コストで良好な感触を実現するのが特長だ。
 メイリリィでは、有機JAS認定を取得したブルガリア産の高品質ダマスクローズウォーターの化粧品・食品原料販売を行う。女性の悩みを改善する素材として高い人気を誇る。
 化粧品原料商社のマツモト交商では、多様化する販売メーカーのニーズに対応し、「機能別原料提案」を積極化させる。テーマごとにあらゆる原料メーカーの素材を横串型の提案として案内するサービスで、各素材の特徴などを商社ならではの目線でアドバイスしていく。今年の 2月には「乳化剤」をテーマにセミナーを実施しており、6 月には「増粘剤」をテーマにセミナーを開催する予定。
 エンチームでは、話題のヒト脂肪順化培養エキス含有の美容液『イユープレミアム』シリーズを発売、昨年の販売開始以来、好調に推移している。10本からOEM供給も好評だ。バイオフーズインターナショナルは、自社開発素材配合の“オンリーワンコスメ”を提案する。
(詳しくは4/6発行・第1593号で)





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