
丸善製薬では、3月13日に都内で、HMPAの研究成果を披露するHMPAフォーラム「世界へ発信するHMPA研究の最前線」を開催した。
開会挨拶では、丸善製薬の代表取締役社長 日暮泰広氏が「ポリフェノールは生体利用率が低く代謝経路も不明であるが、ここで注目したいのがHMPAである。現在は腸内で起こる反応をもとにした設計が求められる時代であり、機能性腸内細菌代謝物であるHMPAには大きな可能性を感じている」(要約)と語った。
フォーラムでは、各講演者からHMPAに関する多角的な研究内容が発表された。
●乳酸菌のHMPA産生機構の解明と生産への応用
岡山理科大学 生命科学部 生物科学科 教授 三井亮司氏
HMPAは、植物の細胞壁などに含まれるフェルラ酸のプロペン酸側鎖が還元されてプロピオン酸となった化合物。食品ではサワードゥパン、黒酢、ぬか床など穀類原料と乳酸菌が関与している食品に含まれることが知られている。前駆体を含む食品を摂取することで腸内細菌代謝を経て生成される。アラビノキシラン、クロロゲン酸、クルクミン、γ-オリザノールなどを摂取した後、腸内細菌によりHMPAへと変換されることが知られている。
研究により植物由来の乳酸菌L. plantarum、Weissella cibariaをフェルラ酸共存下で培養したところ、HMPAが生成することを見いだした。とくにヘテロ乳酸発酵型のW. cibariaはHMPAを効率的に生産する特性を有するため、発酵生産に適した菌株であることを見いだした。
●GPR41を作用機序としたHMPAのエネルギー代謝機能
京都大学 大学院生命科学研究科 生体システム学分野 教授 木村郁夫氏
ヒドロキシ桂皮酸誘導体であるHMCAの健康への寄与はこれまで知られていたが、HMCAそのものの作用ではなく、腸内細菌による代謝によりHMPAへと変換され、そのHMPAが肥満や脂肪感などの代謝性疾患の予防に繋がることに言及。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、カフェ酸を経てフェルラ酸に変換され、そのフェルラ酸が腸内細菌によりHMPAに変換される。動物試験ではHMCAの肥満抑制、肝臓の中性脂肪低減作用が調べられているが、腸内が無菌の状態ではHMCAを与えても肥満抑制機能がみられなかったことから、HMCAがHMPAに変換されることが大切だと考えられる。なお、HMPAそのものを食べさせた場合には肥満抑制効果と肝臓機能改善効果がみられた。HMPAは短鎖脂肪酸受容体のひとつであるGPR41を活性化することで、脂質代謝関連経路を亢進させ、エネルギー消費の促進や脂肪蓄積の抑制に寄与することが確認された。
●HMPAの生体利用性 ~「食べ物はからだに吸収される」を考える
九州大学大学院 農学研究員 生命機能科学部門 教授 松井利郎氏
HMPAは、ポリフェノールから共通して生産される腸内細菌代謝産物として知られていた。ラット試験においてHMPAは、そのままの形で吸収されるだけでなく、硫酸抱合体、グルクロン酸抱合体としても吸収され体内を循環し、臓器への蓄積も認められた。
●HMPAの抗酸化活性と抱合化の影響
神戸大学 大学院 農学研究科 教授 榊原啓之氏
ポリフェノール成分の摂取後、消化・吸収・代謝・排泄といった一連の体内動態を経たのちに、どの分子種が実際に生体内に存在し、機能を発揮しているのか?その一例として、クロロゲン酸およびその主要代謝産物における抗酸化活性の変化をMATLABで解析し、比較検証した。結果、クロロゲン酸を基準とした場合、代謝に伴い抗酸化活性が増強される分子種が存在する一方で、抱合化によって抗酸化活性が著しく低下、あるいは消失する可能性が示唆された。
●そのほか、丸善製薬 総合研究所より3名が登壇した。
・栢木宏之氏 HMPA開発コンセプトを語る
・塩飽力也氏 HMPAの認知機能に対する有効性を説明
・川本広明氏 HMPAの分析技術を紹介












