(一社)日本食品添加物協会の新会長に就任した吉良郁夫会長(味の素アドバイザー)は、「科学的根拠に基づく啓発活動」「行政機関との連携・業界要望の実現」「食品表示の適正化へ向けた取組の継続」などを挙げ、食品業界のさらなる成長に向けて貢献したいと、報道各社のインタビューに答えた。
吉良会長は、味の素㈱において「新規酵素による汎用的ペプチド新製法の開発」や「グルタミン酸ナトリウム(MSG)の製法方法」の特許開発に携わるなど、研究開発領域を牽引。その後、アミノサイエンス事業本部所長、北米味の素社社長を歴任し、事業開発、組織開発、グローバル戦略など多岐にわたる分野でイニシアチブを発揮してきた。
インタビューでは、最新の法改正や消費者動向など幅広く尋ねた。

―――食品添加物の不使用表示に関するガイドラインが厳格化されて2年が経過したが、現時点の評価と課題は
単なる「無添加」表示は減っており、一定の程度まで浸透したと感じている。しかしながら今なお「〇〇不使用」や「〇〇無添加」といった表示がされた製品、特にEコマースの商品画像では不適切な表示が見受けられる。
食品の安全・衛生において「無添加」や「不使用」=ゼロリスクを意味しないことは周知の通りである。しかしながら、あたかも添加物を使わないことが体に良さそうという意識を醸成してしまうことに問題意識を感じている。表示の適正化に向け、関連団体や当該事業者への申し入れなど、地道な活動を続けたい。
―――第11版食品添加物公定書の作成の進捗状況は
2028年度内、具体的には2029年第一四半期の作成を目指して検討を続けている段階である。当協会も検討会に参加し積極的に意見を届けるほか、新規収載添加物についても調査等を進めている。
―――食品表示へのデジタルツール活用についてこの夏に取りまとめや活用検討の進め方が示されたが、今後どのような意見発信を行うか
7月15日に開催された食品表示懇談会で示された取りまとめ案では、パブリックコメント募集は来年度を予定しているということである。協会でも会員企業の意見を取りまとめた上で、意見を寄せることを予定している。
デジタルツールの活用は情報提供の充実、透明化への寄与が期待できる一方で、導入コストやスマートフォンなどのデジタル機器を利用しない方への配慮も検討する必要があるだろう。すでに容器包装表示とデジタルツール、それぞれにどのような情報を掲載するのかの審議も始まっている。特にスペースに限りのある容器包装表示では、現行水準は維持しつつ、国際的な整合性を図ったシンプルな表示ができないか期待している。
―――最近の食品添加物に関する記事などで、気になったものは
食品添加物に関しては科学的根拠が不十分にも関わらず、消費者不安をあおるような表現が今なお一部報道やSNS等で見られることは大きな課題である。また米国で加熱する超加工食品(UPF)の影響も留意している。日本においては、超加工食品について冷静に受け止めていると判断しているが、加工食品そのものが不当に批判されることがないように、協会としても関連キーワードの動向調査や、科学的根拠に基づいた啓発活動を広く継続する。
―――今後の消費者啓発活動の構想などについて
一般消費者の方に向けて「食品の安全に関するリスクコミュニケーション」の推進、具体的には漫画コンテンツやSNSなどのメディア活用を予定している。添加物の適正な使用は、食品の美味しさ・安全を守るだけでなく、フードロスの削減にも貢献する。より正しい理解と不安の払しょくに向けて、様々な取組を続けていきたい。













