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DHA・EPA協議会、第23回公開講演会を開催「ヒトの生体機能の調節におけるオメガ3の関わり」

DHA・EPA協議会は10月26 日(水)に第23回公開講演会「ヒトの生体機能の調節におけるオメガ3の関わり」を開催した。開催は会場とオンラインのハイブリッドで行われ、講師3名によりDHAなどオメガ3に関する研究の発表が行われた。(講演内容は編集部要約)

1)リン脂質中オメガ3 の分子レベルでの生体機能解析〜なぜ体に重要な分子なのか?〜
国立国際医療研究センター 脂質生命科学研究部 テニュアトラック部長 進藤英雄 氏

細胞膜の主成分となるリン脂質の特長を決める成分の1つが脂肪酸で、リン脂質に脂肪酸を組み込む酵素(LPLAT)は14種類が知られている。DHAをリン脂質に組み込む酵素(LPLAT3)の欠損マウスによる試験では、DHAを持つリン脂質を作ることができないため視覚や雄性生殖機能に異常をきたすというデータを紹介。
生体で合成できない必須脂肪酸は食事によるコントロールが大切で、オメガ3、オメガ6等はどちらが良い悪いではなく、バランスが大切になる。ただ、オメガ3は意識しないと摂取しにくいため、意識して摂る必要がある。

2)DHAと睡眠の関わり
滋賀医科大学 精神医学講座 特任教授/睡眠センター センター長 角谷 寛 氏

睡眠不足によるパフォーマンスの低下は、3日間たっぷり寝ても元の反応時間まで回復しない。睡眠負債(少しずつ積み重なる睡眠不足)による経済損失はとくに日本ではかなり大きいと考えられる。
オメガ3と睡眠に関する各年代を対象とした各試験結果を解析すると、どの年代でもオメガ3摂取は睡眠を良くする方向に働く可能性があることを紹介した。

3) EPA が人を幸せにする?〜女性医療福祉従事者での検討
滋賀県立大学 人間看護学部 人間看護学科 教授 坪井宏仁 氏

女性医療福祉従事者133人を対象に、血液中の各種脂肪酸濃度と幸福感、やりがいについて調査した結果を見ると、DHAとEPAでは幸福感とやりがいで有意な正の相関が認められた。
脳に存在する量はEPAよりDHAの方が圧倒的に多いが、神経系への影響はDHAよりもEPAの方が強い可能性が示唆されている。EPAの代謝物が幸福感を高めるカンナビノイド受容体への親和性がDHA代謝物より圧倒的に高いこと、さらに、神経機能を阻害する炎症に関わる接着分子の働きを低下させる機能が影響しているのではないかと推察された。

DHA・EPA協議会についてはこちらをご覧ください。
http://www.dhaepa.org/
DHA・EPAなどの研究成果をはじめ様々な情報発信をしています。

なお、『食品と開発』2023年2月号(2月1日発行)では、上記の先生方のご執筆原稿を掲載予定です。

Tie2活性化や毛細血管、リンパ管など多角的な学術研究を披露―Tie2・リンパ・血管研究会学術集会

【2022年11月号】特集/次世代食糧資源としての昆虫食の可能性

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