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アメリカにおける食品安全評価の方向性の不一致

現在アメリカでは、州ごとに危険性のある食品添加物の使用を規制する動きが盛んである。昨年カリフォルニア州では、エリスロシン(赤色3号)、臭素酸カリウム、臭素化植物油(VOB)、プロピルパラベンの4つの物質の規制が決定した。またイリノイ州も、カリフォルニア州で規制が決定した4つの物質と二酸化チタンの規制に向けて動いている。この動きに伴い、アメリカでは食品安全管理についての議論が起こっている。

従来のアメリカにおける食品安全管理機関は、大きく2つある。1つは、FDA(アメリカ食品医薬品局)だ。FDAは食品添加物のリストを公開しており、そのリストには、添加物の名称とともに使用に関する認可の状態(使用可/使用禁止/申請があったが棄却済み等)が記されている。

2つ目は、GRAS(Generally Recognized As Safe)リストだ。このリストは、専門家の知見や、今までに使用されてきた経緯を踏まえて、一定の使用目的の範囲内であれば安全だと証明されている物質のリストである。専門家が物質をリストに入れる決定をした後、FDAへ通知され、FDAが異議を申し立てなければリストに入れるという行程だ。

現在の潮流に対してFDAは、州ごとに手に入る食品の安全性が異なるのは好ましくなく、FDAが国全体の食品安全に関するイニシアチブをとるべきだと表明している。しかし現状は、予算や人手不足により、物質の評価自体が追いついていない。しかしFDAも自らのビジョンの実現のために、過去最大の予算増額を議会へ提案したり、現在評価途中の物質のリストを一般公開したりと、国民の目に留まる努力をしているようだ。アメリカ国民にとっては大きい組織、小さい組織どちらがイニシアチブをとることがより食品への信用に繋がるのだろうか。

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