毎月の連載記事

【4月号連載】産学官シリーズ58機能性が注目される神奈川県の農水産物

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

産学官連携による地域農・畜・水産物活用のための機能性食品開発研究を追う
シリーズ58
機能性が注目される神奈川県の農水産物
地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所 研究開発部 澁谷 一郎

はじめに
神奈川県には県全域にわたって農産物、水産物など地域産物が数多くあり、首都圏のみならず全国向けに多数出荷されている。これらの農水産物については、よく知られた機能性をもつものや、未知の機能性を秘めた食品素材が多くある。本稿ではその中から、当研究所(KISTEC)が中心となって機能性評価を行った農水産物について、ニュートリゲノミクス解析結果を中心にいくつか紹介する。

1.トランスクリプトーム解析技術(ニュートリゲノミクス)について
生体内で起こる変化を多角的に解析する手法の一つに、網羅性の高いDNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析がある。これは、細胞内で発現する数万種の転写産物(mRNA、microRNA)量を網羅的に解析するもので、これらの量の変化の内容を解読することで、これから起こる生体の変化を予測しようという手法である。DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析は、ニュートリゲノミクス(栄養ゲノム科学)の観点から食品や食品成分の健康機能性評価や、栄養素欠乏の安全性評価に広く活用されている。本技術は当研究所がもっとも得意とする食品の機能性評価技術の一つである。

2.機能性が注目される神奈川
県の農水産物とその特性機能性が注目される神奈川県の農水産物とその特性を、下記一覧表に示す(※注:本誌『食品と開発』4月号の記事内に掲載)。またそれぞれの当研究
所での機能性評価事例について以下個別に紹介する。

(1)湘南ゴールド
湘南ゴールドは、1988年に神奈川県農業技術センターが「黄金柑」に「今村温州」を交配して得られた品種で、2003年に品種登録された。種子は少なく、果肉は柔軟多汁で風味がよく、優れた食味を有している。収穫期は3月で、神奈川県の新しいカンキツとして注目を集めている。主に県内西湘地区の海岸付近で栽培されており、年間生産量は約1000トン。その優れた風味から、用途としては生食用だけではなく、ジュース、ジャム、ピューレ、アイスクリーム、キャンデー、さらにはワイン、ビールやサワー飲料、香料などの原料としても利用されている。

カンキツ類の機能性成分については、温州ミカンに多く含まれる骨代謝のはたらきを助けるβ-クリプトキサンチンや、中性脂肪を減らす作用のあるヘスペリジンが知られているが、当農業技術センターでは湘南ゴールドの機能性物質として、ナリルチン、ヘスペリジンが主要成分であることを見いだした。その特徴は、他のカンキツと比較し果皮、果肉ともナリルチンが多く含まれること、果皮ヘスペリジンは、普通温州ミカンである青島よりも多く、宮川早生と同程度であること、未熟果と成熟果では、未熟果でフラボノイド類が多い傾向にあることである。また可食部の抗酸化活性は、カンキツ類の中では特に高かった。

―以下、続きは月刊『食品と開発』4月号にてご覧ください。

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