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ZOOM UP【殺菌技術】青汁原料での受託殺菌増加、「モリンガ」「桑の葉」「クマ笹」など

健康食品には、根菜系原料、乾燥葉系原料、雑穀系原料など、多種多様な天然原料が使用されている。これらの原料には細菌・カビ・酵母などの微生物が存在しており、殺菌は健康食品の製造に欠かせない工程だ。殺菌方法は、過熱水蒸気殺菌を中心に、紫外線殺菌、プラズマ殺菌、高圧処理など、原料特性に合わせて様々な方法が採用されている。受託殺菌企業の動向を見ると、2019年は「モリンガ」「桑の葉」「クマ笹」などの原料のほか、「菊芋」の依頼が増加。食の安全意識の向上や、品質管理の厳格化などにより、一般食品での殺菌ニーズも高まっている。

■健康食品製造に必須な「殺菌」過熱水蒸気・高圧処理など方法様々

健康食品の製造には、食品原料に存在する細菌・カビ・酵母などの微生物を死滅させる殺菌工程が必須だ。そのため各受託工場では加工原料の受け入れ基準を設定している。健康食品原料には、ウコン、高麗人参、菊芋などの根菜系原料、大麦若葉、モリンガ、明日葉などの乾燥葉原料、キヌア、もち麦、アマランサスなどの雑穀系原料など、多種多様な天然由来原料があり、原料特性に合わせていろいろな殺菌方法が採用されている。

健康食品の殺菌方法は、原料を過熱することで微生物を死滅させる加熱殺菌と、UV(紫外線)や薬剤、放射線、高圧処理などで微生物を死滅させる非加熱殺菌に大別される。国内では加熱殺菌が最も一般的であり、加熱殺菌は、低温殺菌(蒸気・熱湯)、高温殺菌(加熱蒸気、煮沸)、高周波、マイクロ波、赤外線、遠赤外線など様々な方法に分類される。非加熱殺菌は、国内ではまだ浸透していないものの、海外では牡蠣、アボカド、果汁、食肉などの一般食品用途で採用が進んでいる。

特に高圧処理は、生の風味を保ちながらビタミンCなどの熱に弱い成分を壊さずに殺菌が可能だ。飲料用途では食品衛生法「清涼飲料水の製造基準(85℃ 30分)」により、基本的に加熱殺菌を施す必要があるが、規格基準によらない製造過程も承認を受ければ製造可能である。なお、放射線殺菌は、海外では46ヵ国以上で香辛料や乾燥野菜の殺菌用途で利用されているが、日本では(馬鈴薯の発芽防止目的)を除き禁じられている。殺菌の基準は国内外で異なるり、健康食品用途で輸入された原料が海外で放射線殺菌を施されていたために回収されたケースも報告されている。殺菌処理済の原料を輸入する場合は注意が必要だ。

■粉粒体は加熱水蒸気殺菌が主流

主な健康食品の原料となる粉粒体の殺菌加工では、加熱殺菌方法の中でも過熱水蒸気殺菌が主流だ。加熱殺菌法には殺菌処理は容易だが殺菌に時間のかかる乾熱方式と、殺菌時間は短いが処理に手間のかかる湿熱方式の二種類がある。過熱水蒸気殺菌は、乾熱方式と湿熱方式の長所を併せ持ち、100℃以上の高温に加熱した水蒸気を対象物にあてることで耐熱性芽胞菌も死滅させることが可能で「殺菌対象となる原料を必要以上に濡らさない」「過熱水蒸気による殺菌のため、安全性が高い」「短時間・無酸素状態での殺菌のため、有効成分の損失や酸化が少ない」といったメリットがある。

気流式殺菌、気流式過熱蒸気殺菌、過加熱蒸気殺菌、SHS殺菌などとも呼ばれている。過熱水蒸気殺菌装置を手掛ける大川原製作所では、粉粒体「気流式殺菌装置」(連続式)『KPU』を30年以上にわたり販売している。「粉原料」「キザミ原料」「粒原料」など広範囲な粉粒体を過熱水蒸気により連続的に瞬間殺菌( 4 ~ 5 秒)することが可能で、健康食品用途での採用も増えているという。

本記事の続きは「健康産業新聞1685号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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