特集

特集【青汁】堅 調 推 移 も 、拭 え ぬ 先 行 き 不 透 明 感

本紙調査で2018年の市場規模が1,060億円(前年比98%)となり、10年連続での成長が止まった青汁製品。昨年の市場では、主力素材の大麦若葉に若干飽和感が見られたものの、青汁製品のニーズの落ち込みというよりは、昨年6月にアフィリエイト広告を用いて健食販売を行っていたネット通販事業者に対する行政処分を機に、同様の販売手法を用いていたネット通販業者による業務の縮小や、今年1月1日より施行された中国の新EC法「中華人民共和国電子商務報」の施行に伴う、越境EC事業者への規制強化――などの外的要因が市場にブレーキを掛けたというのが業界の見方だった。果たして2019年の青汁製品は再び成長路線に乗れるのか…!? ここでは、青汁製品の上半期の動向と下半期の展望をレポートする。

■上半期は前年同期並みの動き
11年連続の成長が阻まれた青汁製品。今回本紙では、今年上半期の動向を主力メーカーへの取材およびアンケートで調査した。その結果、今年上半期の青汁製品の動向は、概ね昨年上半期と同等の動きで、横ばいの状況で推移していることがわかった。昨年の市場では、上半期は概ね好調に推移し、下半期に外的要因による落ち込みが見られたことで成長にブレーキが掛かったことを考えれば、好調だった昨年上半期と同等の動きというのは、決して悪い話ではない。ただ、本紙が毎年行っている受託製造企業への調査(有効回答73社)では、今年上半期の人気受注素材ランキングで青汁は8 位となり、昨年調査の4 位から大幅に順位を下げた。しかも下半期予想でも昨年3 位に対し、今年は8 位のまま。青汁は例年3 ~ 5 位の上位が定位置だっただけに、本調査結果にはいささか懸念が残る。

今回の取材および調査でも、上半期2ケタ増や2 ケタ近い増との回答と、2 ケタ減や数%減といった回答が見られ、企業や販売チャネルによって二極化の様相が見られた。各社の売上に占める青汁製品のボリュームの大小もあるため一概には言えないが、昨年の調査と比較すると、明暗が顕著化した印象だ。実際、今年上半期の青汁製品の市場では、大型の新製品情報や2 年前のフルーツ青汁のように話題を集めるような商材がなかった。こうした中、下半期の業況予想でも大半のメーカーが上半期と同様の回答をしており、前向きに捉えれば青汁製品が定番商材として安定しているとも言える一方で、先行き不透明感が拭えないモヤモヤした状況が見て取れる。

■「モリンガ」、注目株に
素材の状況を見ると、青汁製品の中で圧倒的なボリュームを持つ「大麦若葉」が市場拡大に伴い、ここ数年は飽和状態の傾向が見られる。一方で、桑葉や明日葉、クマ笹、ボタンボウフウなどの素材は「青汁用途で伸びている」とのコメントが多かった。なかでも昨年来、伸長している素材がモリンガだ。モリンガはスーパーフード人気を受け、大手企業も採用していることで、じわじわと注目を集めてきた素材。

今回の取材では、殺菌・粉末加工の受託メーカーから「今年に入り複数の原料サプライヤーからトン単位での注文が定期的にある」との声が聞かれたほか、主要メーカーの中でも製品化を検討しているところが見られた。現在はスーパーフードユーザーの多い、ホットヨガやエステサロンなど美容業界で多くの製品が流通しているが、今後は青汁製品の分野でも注目素材の1 つとなりそうだ。

 

本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

 <関連記事>

・特集【EBS】治 療 か ら 予 防 へ の シ フ ト で拡大するEBS市場
・特集【二日酔い・飲酒対策】新 た な 素 材 、新 商 品 も 続 々 登 場 -ハウ ス 、ゼ リ ア の 2 強 は 変 わ ら ず-
・特集【胃腸サポート食品】機能性研究・素材提案が活発-胃腸トラブル、現代病の代表格に-
・特集【女性サポート素材】女 性 特 有 の 悩 み に 、多角的アプローチ進む
・特集【愛知県】付加価値の高い技術力で健康産業に新風 -41 年連続日本一の〝ものづくり王国-

■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■

受託製造企業ガイドブック2017健康産業新聞a2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳細はこちら!

 

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP