執筆者
近畿大学農学部食品栄養学科公衆栄養学研究室 森島 真幸
近畿大学大学院応用生命化学専攻食品機能学 堀井 鴻佑
はじめに
心房細動は最も一般的な不整脈の1つであるだけでなく、生命を脅かす心原性脳塞栓症等の原因疾患として健康寿命の延伸を大きく阻害する。肥満は心房細動の大きなリスク因子であり、これまで肥満の改善が心房細動発症や重症化のリスク除去に有効とされてきた。
食の欧米化による肥満傾向と高齢化も急速に進んでいる我が国において、心房細動の予防は喫緊の課題となっている。しかし、肥満が心房細動を発症させる機序は未解明な部分を多く残している。我々はこの問題を解決するために、まず飽和脂肪酸を過剰に摂取させることで心房細動を効率よく発症するマウスモデルを構築し、このモデルに対して、飽和脂肪酸摂餌量の1/2000~1/200という極少量のn-3系多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸;EPA)を過剰な飽和脂肪酸と同時に摂取させると、心房細動の発症を予防できるという新規性に富み、かつユニークな作用を発見した。
我々は、EPAを代表とするn-3系多価不飽和脂肪酸が心房細動の予防にはたらく分子メカニズムを解明することを目的に研究を行っている。本稿ではこれまでに得られた知見について、概説する。
1.心房細動と食事因子について
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