『食品と開発』誌面から

シクロデキストリン包接による安定性・溶解性・吸収性(利用率)の向上【食品と開発 11月号特集2】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

㈱シクロケムバイオ 上梶 友記子、上野 千裕、近本 啓太、長谷川 莉沙、行武 詩織、
Buyanmandakh Buyankhishig、古根 隆広、石田 善行、中田 大介、寺尾 啓二


はじめに

シクロデキストリン(CD)はD-グルコースがα-1、4結合で環状に連なった構造をしており、デンプンに酵素を作用させることによって得られる環状オリゴ糖である。D-グルコース数が6個、7個、8個のものが主体であり、それぞれα-CD、β-CD、γ-CDと呼ばれている。CDは底の無いバケツのような形をしており、空洞の外側が親水性で内側が親油性を示し、脂溶性物質をその空洞内部に取り込む「包接」作用を有することが知られている。包接される側をゲスト分子と呼び、ゲスト分子の全体または一部を空洞内部に取り込むことによって、様々な脂溶性物質と包接体を形成することができる。

この包接作用により、ゲスト分子の安定化、粉末化、可溶化、徐放化、吸収性・バイオアベイラビリティ(利用率)の向上、味や臭いのマスキングなど、多種多様な機能性を付与することが可能となる。また、α-CDやβ-CDは消化酵素で分解されづらい性質を持ち、特にα-CDは食物繊維としても使用されている。対照的にγ-CDは消化酵素によって分解され、エネルギー源として利用できることが知られている。いずれのCDも既存添加物(製造用剤)として食品添加物公定書に記載されており、あらゆる食品に使用することができる。具体的には、わさびの揮発成分(イソチオシアネート類)を保持・安定化した調味料、お茶の苦味(カテキン類)をマスキングした飲料、大豆の特異臭をマスキングした加工品などが挙げられる。また、吸収性を高めたコエンザイムQ10(CoQ10)やR-αリポ酸などは健康食品として利用されている。

本稿では、CD包接による脂溶性物質の安定性、溶解性、吸収性・利用率の向上に関して、そのメカニズムを解説するとともに、検討事例を報告する。

🔒この記事は雑誌に収録されています。

続きは『食品と開発』11月号にてご購読いただけます。

食品と開発2025年11月号

【2025年11月号】特集/可溶化・安定化・吸収性向上素材と技術

食品素材の吸収性及び生体利用率を向上させる製剤技術【食品と開発 11月号特集1】🔒

dsm-firmenich、ワンチームで独自の革新的なソリューションを提案

関連記事

  1. 食によるアンチエイジング研究の進展 食によるエクソソームを介したアンチエイジング【食品と開発7月号特…
  2. アップサイクル 未利用資源のアップサイクルによる新食材「ディーツ」の創出と社会実…
  3. ヒトと組織のマネジメントから考える食品工場の衛生管理 食品衛生の「本音」と「建前」を考える ~ヒトと組織のマネジメント…
  4. 食品の安全確保のための取り組み HACCPを支援する食品機械・設備の為の認証の推進【食品と開発5…
  5. Grandma treats her granddaughter milk in a haystack 多様化するライフスタイルにフィットする乳たんぱくの選び方【フォン…
  6. 海外輸出 加工食品の輸出拡大に向けて~我が国の加工食品の輸出拡大に向けた戦…
  7. 食品と開発 4月号特集2 美味しさの見える化で何ができるか?【食品と開発 4月号特集2】&…
  8. 202503featureI(1) 機能性表示食品の制度改正について【食品と開発 3月号特集I-1】…

お問い合わせ

毎月1日発行
  年間購読料 33,000円(税込)
      1冊 3,300円(税込)

食品開発展2026

PAGE TOP