『食品と開発』誌面から

発酵食品にも含まれる代謝物Lac-Pheによる抗不安様作用の発見【食品と開発11月号 特集I-2】🔒

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明治大学農学部 農芸化学科 栄養生化学研究室 鈴木 詩萌、金子 賢太朗


はじめに

慢性的なストレスは心身の健康に影響を及ぼし、不安障害の発症に関わる要因の一つとされている。近年、食と心の健康との関係が注目されるなか、食品成分が不安や情動に及ぼす影響を明らかにすることは、精神的ストレスの軽減に資する食品を開発する上で重要な課題となっている。そのためには、食品成分が情動調節に関わる生体機構にどのように作用し、どのような変化をもたらすのかを理解する必要がある。

不安の調節には、ドーパミンやセロトニンをはじめとするモノアミン神経系が関与している。一方、不安障害に対する薬物療法では、十分な効果が得られない場合や副作用などの課題も残されている。このため、情動調節に関わる分子とその作用の理解を深めることは、食品成分を活用した新たなアプローチを検討する上でも重要である。

筆者らは、運動後に生体内で増加するとともに、パルメザンチーズや醤油などの発酵食品にも含まれる代謝物N-lactoylphenylalanine(Lac-Phe)に着目した。マウスを用いて検討したところ、Lac-Pheの経口投与によって抗不安様作用が認められた。

本稿では、Lac-Pheの経口投与による抗不安様作用と、その作用に関与する神経機構について、筆者らの研究成果を中心に紹介するとともに、食品由来成分としての可能性を考察する。

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