執筆者
SOCSマネジメントシステムズ㈱ 代表取締役 田中 晃
1.「食品安全マネジメントシステム(FSMS)」における環境モニタリングの役割
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず(=敵を知り己を知れば百戦危うからず)」は、古代中国の兵法書「孫子」の一節で、敵と味方の情勢をしっかり把握していれば、何度戦っても敗れることはないことを教えている。この有名な一節には、さらに2つの重要な教えが続いている。1つは「彼を知らずして己を知れば、一勝一負す(=敵を知らずに自分だけ知っていれば、勝ったり負けたりする)」。もう1つは「彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし(=敵も自分も知らなければ、戦うたびに必ず危ない)」。これら孫子の教えは現代の企業経営の世界では広く知られているが、食品衛生の分野においても非常に重要な示唆に富んだ教えである。
食品衛生の世界では「敵」=「危害要因」を知ることの重要性は当然であるが、合わせて「己」=「工場の環境」や「食品の特性」などを知ることも非常に重要な課題である。しかし、現実的には、「食品に関する事項(製造工程や原材料の管理など)」に対しては既に様々行われているのに対して、「工場の環境」に関しては、一部の先進的な事例を除くと、まだ十分な対応ができているとは言い難い状況にある。「工場の環境」について、現状では、「食品接触面(=Zone #1)」に対する衛生指標菌(一般生菌、大腸菌群など)の検査をおこなっている事例が大半で、工場内の衛生環境を適時、正確に把握するという意味においては十分な対応とは言えないのが現状であろう。
1)弊社は、食品工場のライン洗浄業務の受託サービスを中心に、食品
製造・販売環境の衛生管理サービスの提供を主たる事業としている。
…
🔒この記事は雑誌に収録されています。
続きは『食品と開発』2026年10月号にてご購読いただけます。
















