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太陽化学、水溶性ヘスペレチン-7-グルコシド製剤の冷えによる血流低下および冷え感改善作用を確認

太陽化学は、水溶性ヘスペレチン-7-グルコシド(以下HPTG)製剤の冷えによる血流の低下、および、全身の冷え感の改善作用を明らかにし、学術誌「Nutrients」に発表した。

同社が冷え改善向けの食品成分として注目した柑橘由来フラボノイドのヘスペリジンは、抗酸化作用、抗炎症作用、血管保護作用があり、ヒトにおいて血流および冷え改善作用が確認されている。しかし本成分は水に溶けにくく、体内への吸収率が低いという難点があった。そこで同社は独自の特許製法でフラボノイドの吸収性を高めたHPTG製剤を開発し、健常成人を対象に有効性検証試験を実施した。

20 名の健常者を対象に、プラセボ、HPTG 19.5 mg/日摂取、HPTG 39.0mg/日摂取のダブルブラインド・クロスオーバー試験を実施。摂取後に15℃の冷水に1分間手を浸し、手を引き上げてから30分後までの指先の抹消血流や皮膚表面温度の回復を評価した。同時に、主観的な冷え感に関するアンケート調査を行った。

その結果、HPTG 19.5 mg/日、39.0 mg/日の摂取により、プラセボ群と比較して、冷水負荷後に低下する抹消血流が有意に回復し、全身の冷えに関するアンケートスコアが有意に改善した。皮膚表面温度はプラセボ群と比較してHPTG 19.5 mg/日の摂取で有意に高く維持されたが、HPTG 39.0 mg/日の摂取では低く維持された。一方、皮膚表面温度のばらつきが大きい、ヘモグロビン値が低めの被験者を除いた場合、皮膚表面温度はHPTG 19.5 mg/日、39.0 mg/日のいずれの摂取によっても、プラセボ群と比較して有意に高く維持された。

本研究により HPTG 19.5 mg/日以上の摂取で、健常者の冷えによる末梢血流が改善し、全身の冷え感が軽減されることが明らかになった。ヘスペレチンは血管内皮細胞に作用し、血管拡張作用のある一酸化窒素(NO)の産生を促進し、分解を抑制することから、NO の増加を介する血管拡張作用により、血流および冷えを改善する可能性が考えられた。また、ヘスペレチンは温度を感知する温度受容体にも作用するため、それらの調節作用を介して冷えを改善する可能性もある。今後、詳細なメカニズムを解明し、HPTG の新たな有効性を明らかにする研究を進めていく。

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