執筆者
東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座・主任教授 越智 小枝
はじめに
栄養とは、単なる「栄養素」のことではなく、生命を維持し、日常生活を送るために必要な物質を外界から摂取し、これを利用し、不要なものを排泄する活動全般を指す。すなわち栄養を考える上では口腔・嚥下機能、消化・吸収・排泄機能を含めた広範な生命現象を考える必要がある。
栄養が災害時に果たす役割は、単なる生命維持に留まらない。被災という過酷なストレス下で種々の健康リスクへの抵抗性と回復力を得るためには、本来、日常以上に積極的な栄養介入が必要である。しかし、物資の不足しがちな被災地において、このような観点はしばしば見落とされがちだ。
災害時の栄養は広範な学術分野であり、そのすべてを網羅することはできない。このため本稿ではあくまでその代表的な事項を例示する。
災害とは
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