『食品と開発』誌面から

「人」の行動を中心に異物混入対策を考える(1)【ヒトと組織のマネジメントから考える食品工場の衛生管理④】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

SOCSマネジメントシステムズ㈱ 代表取締役 田中 晃


1.リスクマネジメントとしての「異物」対策

前回は、「食」の安全に必要な「清潔」の意味と、食品企業・工場で必要な日常的な衛生作業について考えたが、今回は、食の安全に欠かせない企業・組織の「文化」と「習慣」について考える。

「文化」は「語られることのない直感的なもの、単純な観察、「これは正しいことだ」「私たちは決してこんなことはしない」といった基本的な信念からその力を引き出します。……文化は人の経験を通じて育まれるもの」と定義されるが、食の安全に関わる必要な「行動」を“当たり前のこと”として企業・組織内に根付かせるために、「文化」は最も重要な要件である。

食の安全を守るために、各企業や組織には様々なルールが存在し、「(面倒でも)やらなくてはならないこと」や「(そちらの方が楽そうでも)やってはいけないこと」が存在する。当然のことであるが、食品の製造・販売に関わるすべての社員・スタッフの行動を、企業がその全てを管理することは現実的には不可能である。したがって、食の安全には社員・スタッフの一人一人が、監視や強制によってではなく“自発的”に「“やるべきこと”をやる」、誰かが見ているからではなく「“やってはいけないこと”はやらない」、そうした「行動」や「習慣」の変容が必要である。こうした「行動」や「習慣」の変容がどこまで、どの程度組織内に広がり、定着するかは、社員・スタッフ自身の文化や価値観、教育訓練、そして同僚による影響(“朱に交われば赤くなる”)を受ける。

社員・スタッフの行動や習慣は、“ルール”や教育訓練など、「トップダウン(=“ 上から”)」のアクションだけでは、それを変化させ、継続、定着させることはできない。食品安全に関わる行動や習慣を変容させ、それらを組織にとって「“当たり前”のこと」として定着させるためには、社員・スタッフにとって身近で、“実感”を感じられる(高邁な“理屈”でなく)課題を、自分たちで工夫し、改善して、目に見える結果を確認して行く体験と、継続的な活動3()=“ボトムアップ”)が必要である。

こうした食の安全に関わる人と組織の「行動」や「習慣」を変えて行く活動を、実際の企業・組織内で広め、定着させて行くために、「異物混入防止」活動は有効なきっかけ作りとなる。何故なら、「毛髪」混入対策に代表される異物混入防止活動は、誰にとっても“身近”で、誰でも“関与”を実感できるからである。

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