『食品と開発』誌面から

食によるエクソソームを介したアンチエイジング【食品と開発7月号特集2】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

九州大学大学院農学研究院 教授 片倉 喜範


はじめに

近年、食品や食品成分は単なる栄養供給源としての役割にとどまらず、生体内の多様な細胞間コミュニケーションを介して全身の恒常性維持や老化制御に寄与することが明らかになりつつある。これまで食品の機能性は、摂取した成分が直接的に標的組織へ作用することで説明されることが多かった。しかし近年では、食品刺激に応答した腸管上皮細胞、免疫細胞、筋細胞、神経細胞などが相互に情報を伝達し、その結果として遠隔臓器の機能調節を誘導していることが示されつつある。すなわち、食品は単独成分として作用するだけでなく、生体内の情報伝達ネットワークを介して全身機能を制御している可能性が考えられている。

このような細胞間コミュニケーションにおいて、近年特に注目を集めているのがエクソソームである。エクソソームは直径30〜150 nm程度の細胞外小胞であり、miRNA、mRNA、タンパク質、脂質など多様な生理活性分子を内包しており、特に、食品成分や腸内細菌由来代謝物がエクソソームの分泌量や内容物を変化させ、その結果として脳、皮膚、筋肉など多様な臓器機能を制御する可能性が報告されている。すなわち、食品はエクソソームを介した新たな情報伝達経路を動員することで、全身的な抗老化作用を発揮している可能性が考えられる。

本総説では、食品摂取によって誘導されるエクソソームに着目し、特に腸脳相関を介したアンチエイジング作用の可能性について概説する。また、GABA、カルノシン、ウロリチンA、乳酸菌などの機能性食品成分によるエクソソーム制御機構や、その応用可能性について最新の知見を紹介し、今後のアンチエイジング食品開発の展望について紹介する。

…

🔒この記事は雑誌に収録されています。

続きは『食品と開発』2026年7月号にてご購読いただけます。

食品と開発2026年7月号

【2026年7月号】特集/食によるアンチエイジング研究の進展

『食品と開発』誌面から

食によるアンチエイジング研究【食品と開発7月号特集1】🔒

冷凍・冷蔵設備に工事不要で使える、スウェーデン発の省エネ・フードロス対策

関連記事

  1. ヒトと組織のマネジメントから考える食品工場の衛生管理 食品衛生に必要な「清潔」はどうしたら実現できるか?〜食品製造現場…
  2. ホエイプロテイン ウェイトマネジメント市場における乳たんぱくの再定義 【フォンテラ…
  3. pet ペットフード安全法の概要及びペットフードの医薬品医療機器等法上の…
  4. 伝統的発酵の解明から新たな発酵デザインへ 麹菌の窒素同化固体発酵による簡便迅速な食用タンパク質生産【食品と…
  5. 食品と開発 5月号特集2 アレルギー物質を含む食品の検査法【食品と開発 5月号特集2】&#…
  6. pet ペットフード産業の現状と動向【食品と開発8月号特集2】…
  7. 食品と開発2025年8月特集4 キッコーマンフードテックのスマート化新工場の紹介【食品と開発 8…
  8. AIを活用した食品開発 AIが変える食品開発 世界の最新事情とトレンド【食品と開発 4月…

お問い合わせ

毎月1日発行
  年間購読料 33,000円(税込)
      1冊 3,300円(税込)

食品開発展2026

PAGE TOP