『食品と開発』誌面から

水中短波帯加圧加熱による高品質殺菌技術【食品と開発9月号特集I-3】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 教授 植村 邦彦


はじめに

食品の安全性や保存性を高める殺菌・加工方法としては、食品の外部の熱源で加熱する外部加熱が一般的である。外部加熱で食品内部の耐熱性の高い微生物に対して殺菌を確実に行うためには、外部から高温、かつ長時間の加熱が必要である。高温長時間加熱は、食品の色、香気成分、物性、さらには熱に弱い栄養成分の熱劣化が生じることが問題となる。

一方、電子レンジ加熱の様に電気エネルギーを利用して食品自身が発熱する加熱方法を内部加熱と呼ぶ。内部加熱は、食品自身が発熱するため、大型の食品を短時間で加熱することが可能である。また、電子レンジ加熱で利用されるマイクロ波(2.45 GHz)は、包材のプラスチックフィルムを通過して中の食品を加熱できることから、長期保存に有効な包装後の食品の加熱に好適である。その利便性から、電子レンジ加熱は、家庭において加工食品の再加熱に重用されるようになった。ただし、2.45 GHzのマイクロ波のエネルギーは、食品の外部から内部に1cm浸透する際に半減する特性を有することから、大型の食品の中心部までエネルギーが届きにくく、食品の中心部の温度が上がり難い点(コールドスポット)が生じる。

マイクロ波で食品を加熱殺菌する際には、コールドスポットにおける殺菌が不十分な場合が問題となる。そこで、筆者らはマイクロ波よりも低い周波数である短波(27MHz)の利用に着目した。短波はマイクロ波にくらべて100分の1の周波数、100倍の波長を有するため、大型の食品であっても全体をほぼ均一に加熱することが可能である。また、短波もプラスチックフィルムを通過できることから包装後の加熱にも対応可能である。ただし、短波はマイクロ波に比べて空気中よりも水中を伝搬しやすい性質のため、真空包装した食品を水中で短波を印加して加熱している。

短波のエネルギーは食品だけでなく水の加熱にも使われるため、食品単体の発熱効率はマイクロ波に劣ることになる。一方、外部の熱源を用いて水の温度を食品の最終加熱温度に設定することにより、短波による食品内部の加熱と、温水による食品表面の加熱が同時に進行するため、パウチ食品の内外を迅速均一に加熱することが実現する。

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食品と開発2026年9月号

【2026年9月号】特集I/品質・安全と美味しさを両立する殺菌技術 特集II/災害食の開発

『食品と開発』誌面から

健康寿命の更なる延伸を図るための「攻め」の取組み―今年度内に「日本人のための食事ガイド(仮称)」作成へ

食品の安全を支えるマイクロ波・高周波加熱技術【食品と開発9月号特集I-4】🔒

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