関連トピックス

Fi Europe、コロナを乗り越え盛大に開催

11月28日~30日、フランクフルトでFi Europe(食品素材展)が開催された。今年の出展企業数は1,407社とコロナ以前2019年の1,700社には及ばなかったものの、2022年の932社から150%近くとなり完全復活を示した。出展国数は67か国。カントリーパビリオンは22か国設けられたが、なかでも中国はコロナ禍の3年間ほとんど出展できなかった企業が今年はこぞって参加し、パビリオンだけで237社が出展、圧倒的な広さを誇った。

Fi Europeは1986年に第1回が開催されて以来、世界中の食品・飲料素材・原料メーカーにとって確固たる販売・マーケットルートとして重視され、今年で26回を数える。

大手では、Cargil、Prinova、ADM、Roquette、Silesia Gerhard Hanke、BENEO、AAK、Jungbuzlauer、ROUSSELOT、Snick EuroIngredients、Shanghai Freemen Lifescience、GELITA、Essentia Protein Solutionなどが巨大なブースで出展。日本企業では、三菱ガス化学、太陽化学、不二製油、長瀬産業、三菱商事ライフサイエンス、協和発酵バイオ、ニッピ、日本生物科学研究所、キッコーマン食品、ハナマルキ、金秀バイオ、アスタリールなどが出展した。

出展品目では、シード、カカオ、乳、卵、穀物、果実、野菜、香辛料などの原料系と、甘味料、乳化剤、ゲル化・増粘安定剤、調味料、色素、フレーバーなどの食品添加物が例年通り多数出展され、さらにトレンドにもあった海由来の素材(海藻など)も多数出展していた。

特に目についた製品としては、「プラントベース」「プロテイン」「発酵」「プロバイオティクス」「マリーン製品」があり、その他、「サステナビリティ」や「二酸化炭素削減」といったワードも目立って表示されていた。

「プラントベース」は特にトレンドとなっており、100社以上が出展し、プラントベースプロテイン、または、それに関連した原料を出展している会社がとても多かった。ただ、プラントベースの製品自体というよりも、例えば、プラントベース肉やプラントベースプロテインを製造するための技術や素材が注目を集め、味や食感を本物に近づけるための「リアル感」などの「感覚」がキーワードになり、そのための技術や製品が多数出展されていた。代替肉やプラントベースマヨネーズ・ソース、プラントベース卵製品の開発訴求に合わせて発酵技術や酵素なども注目を集めていた。

プロテインは、プラントベース製品開発のための大豆プロテイン、エンドウ豆プロテイン、ライスプロテイン、そら豆プロテイン、ひよこ豆プロテインが多く出展していたが、そんな中、プラントベースには当たらないホエイプロテインもこれまで通り、多数出展していた。

また、新たに、これまでヨーロッパではあまり見かけなかったプレバイオ・プロバイオ関連をPRしている企業が増えてきているようで、整腸作用や生菌に関連した製品が多数出展していた。

もう一つ目立っていた製品はコラーゲンで、魚由来、豚由来、牛由来、鳥由来など、さまざまな種類のコラーゲンが出展しており、「関節や骨への影響」「筋肉への疲労回復」だけではなく、日本で広く知られている「しわへの効果」などまで各社がエビデンスや特徴などを準備し、他社との差別化をPRしていた。

ミンテルのトレンド発表では、ここ最近のZ世代へのマーケット拡大とは別に、健康関連市場で今注目されてきているのはX世代(44~59歳)で、この世代は、特にエイジングに対しての関心が大変高く、今後、この分野での市場の拡大が見込めると発表している。「コラーゲン」や「プロバイオ」、「プロテイン」は、特にこの世代をターゲットにした製品開発で需要が拡大することが見込まれ、それに併せて展示会でも出展が増えているように感じた。これまで日本で注目されていたアンチエイジングがヨーロッパ市場でも急速に注目されていることを感じた。

その他、目立っていた製品として、ゲル化増粘剤として使われるカラギーナンがあった。Innova社のトレンドにもあるように海からの製品が注目され、さらに、プラントベース製品の人気なども手伝って、注目を集めているようだった。

最後に、これまでと違ってきている点として、「オメガ3」というキーワードはほとんど見かけなかった。また、「GMOフリー」というワードもほとんど見かけなくなったように感じた。ミンテルの調査では、ドイツ人の22%が栄養素の高いGMO製品を積極的に買いたいという結果もあるようで、GMO製品が体に良くないという印象も減ってきているのかもしれないと感じた。

展示会全体でみると、出展製品はとても多様性が進んでいるように感じ、海外パビリオンでは、各社がヨーロッパ市場にあった製品の展示というよりは、例えば、アメリカパビリオンではピスタチオやドライフルーツなど、ポーランドパビリオンではベリー製品など、フィンランドパビリオンではオーツ関連製品、アイルランドパビリオンではデイリー製品、フランスパビリオンではチョコレートや穀物などといった自国の製品を積極的に出展しており、Innova社のトレンドにもあった地元の製品が海外で採用される機会も増えてきていることを感じた。

なお、次回のFi Europe 2024は、今年と同じフランクフルトで2024年11月19~21日に開催予定。

関連記事

  1. デュポン、植物性たん白にまつわる情報提供と製品開発のためのセミナ…
  2. オリザ油化のこめ油が中性脂肪・総コレステロール低下機能で機能機能…
  3. 厚生労働省―15年ぶりの食品衛生法改正に対する提言をとりまとめ
  4. カナダから食品関連企業54団体が来日予定
  5. 味元ブランドのMSG、4月から2次値上げ
  6. ツバメの巣エキスにおいて、タイトジャンクションの形成を促進し、皮…
  7. ヒットする商品の開発、市場傾向や今後の食の変化などを探る講演会を…
  8. ナガセヴィータ、EcoVadis社のサステナビリティ調査で最高位…

お問い合わせ

毎月1日発行
  年間購読料 33,000円(税込)
      1冊 3,300円(税込)

食品開発展2024 出展者募集中

PAGE TOP