『食品と開発』誌面から

個々人が適塩の実践に必要な事とは【食品と開発 12月号特集4】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

元共立女子短期大学教授 小川 聖子


現在、日本人の多くが、食塩の摂取過剰を指摘されている。食塩のとり過ぎが、血管障害はじめ、様々な症状を引き起こす可能性が高いのは周知の事である。すでに医師から指導されている方も多く、また入院した折に病院食が薄味でびっくりした方もいると思う。濃い味はよくない、と理解していても、味をうすくすると美味しくない、塩やしょう油を減らすだけで減塩になるの?など、適塩に近づくためのハードルはいくつもある。

家庭での調理の場合,塩分もしくは塩分を多く含む調味料をいかに効果的に無駄なく使うかが大切である。塩分について、自分が1日にどのくらいとったかな?と意識するだけでも効果がある。

食塩は、1日の摂取目標が男性で7.5グラム、女性で6.5グラムである。その単位が1g,0.5gといった微小なものなので、日々の細かな努力の積み重ねを続けることになる。お店で提供されるラーメン1杯の塩分量は、約6グラム。スープを残したとしても4グラム程度は食べてしまうので、食塩摂取の目標量は、かなり厳しいものだとわかる。

個々人が減塩を実践するには、まず現在の調味料の使用量を知ることが必要である。自分が食塩を含む調味料を1日あたり、どのくらいとっているのか、家庭での場合を調べる。家族が同じものを同じだけ食べたと想定し、1週間単位の塩・しょうゆ・味噌などの使用量を量り、そこから1日あたり一人当たりの分量を算出する。

①週の始めに塩・しょう油・味噌を、切りの良い分量(100グラムなど)に合わせておき、1週間は、調理途中や、卓上の調味もすべてそこから使用するようにする。合計の量が把握できれば、びんや入れ物が、いくつかあってもかまわない。

②1週間後、再び計量する。減った分が1週間の摂取量。7で割ると1日あたりの家庭での調味料の使用量が判る。家族で同じ料理を食べているとしたら、人数で割る。醤油に含まれる食塩の量は、小さじ1強(7グラム)あたりで1グラム、味噌は小さじ1.5(9グラム)で1グラム相当。みそ汁に、味噌を一人分小さじ2.5杯使用したら食塩量は約1.5グラム。ソース・マヨネーズ・ドレッシング・ケチャップ・オイスターソース・めんつゆ・ポン酢などにもそれぞれ塩分が含まれている。商品のパッケージには含有塩分が表示されていることが多いので、使用量から摂取した食塩の量を計算してみる。

計算した各人の一日の食塩の摂取量は、ごくざっくりとしたものである。1週間のうちにはこれに加えて、市販のお総菜やテイクアウト、冷凍食品や様々な加工食品、乳製品や練り製品、外食分の食塩が加わる事だろう。しかし、家庭での調味料の減り方が判れば、日々の味付けの傾向がわかる。濃い目の味付けであるとか、味噌の減り方が大きいなど、減塩を始めるきっかけが実感できると思う。食塩の1日の摂取目標量は、平均的な日本人には、なかなか実行が難しい数字だ。

摂取食塩を減らす努力は、大抵の人に必要だが、急に味付けをうすくすると、誰でもその料理をまずく感じてしまう。身体には有益であったとしても、「美味しさ」とは、それまでの生活や記憶、環境に大きく影響されるからだ。無理をせずに、料理1品から、それも少しずつ食塩を減らすことが、長続きのコツだ。

🔒この記事は雑誌に収録されています。

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食品と開発2025年12月号

【2025年12月号】特集/調理・調味における美味しさと適塩の両立

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塩を使って減塩食を美味しくする【食品と開発 12月号特集5】🔒

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