執筆者
三栄源エフ・エフ・アイ㈱ プリザベーションユニット 山口 大志
はじめに
近年、SDGs(Sustainable DevelopmentGoals:持続可能な開発目標)という言葉は社会に定着し、メディアを通してさまざまな取り組みが紹介されている。SDGsは、2015 年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられ、2030年を達成年限として17のゴールと169のターゲットから構成されている1)。このうち、ゴール12には「持続可能な生産消費形態を確保する」が掲げられており、食品業界においても「つくる責任 つかう責任」が求められている。
日本国内においても、2025年3月14日には食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(いわゆる、食品リサイクル法)の基本方針等が告示されており、事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比で60%削減するという新たな目標の設定を受けて、食品の廃棄・食品ロスの削減を進める取り組みがより加速するものと期待される。
賞味期限は食品の廃棄に関係する要素の一つであり、賞味期限を延長して食品ロスを削減することは、生産・サプライチェーンにおける持続可能な開発への有効なアプローチとなる。賞味期限を延長させるためには、いかに食品の価値を維持するかが鍵となるが、食品に求められる価値は年々多様化しており、その価値を損ねずに賞味期限を延長することは容易ではない。
近年、高級感を訴求した繊細な風味の商品、SNS映えを狙って色調や形態で目を引く商品、健康機能を謳う栄養成分を配合した商品など、メーカーの創意工夫に溢れた多様な商品が販売されているが、商品を特徴づける風味・色・栄養成分はいずれも経時的に劣化するため、商品価値を維持するためには成分の経時劣化を抑制する必要がある。
1)外務省ホームページ、JAPAN SDGsAction Platform より, https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html
1.食品の酸化課題
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