『食品と開発』誌面から

メシマコブ菌糸体MyoSSの筋肉ケア効果:「戻す×伸ばす」を支える素材【食品と開発 10月号機能性キノコ】🔒

執筆者

食品と開発のアバター

台湾 葡萄王生技㈱ 生物科技研究所
GRAPEKING BIO Ltd. Biotech Research Institute 江玲慧


はじめに

骨格筋量と筋力は加齢に伴い低下し、60歳以降では年間約3%の減少が報告されている。遺伝、栄養、身体活動の低下、環境要因は筋維持に大きく影響し、不活動は不活動性筋萎縮を通じてサルコペニア発症リスクと生活の質の低下を招く。骨格筋量が少ない人では慢性疾患や認知機能障害のリスクが上昇し、代謝率の低下は脂肪蓄積と血糖異常をもたらし、進行すればサルコペニア肥満として心血管イベントと死亡の危険が増す。COVID-19の流行下では、ロックダウンによる身体活動の制限や栄養摂取の不足が重なり、骨格筋の質の低下が顕著となった。事後経過でも、ロングCOVID 患者の53–63%に筋力低下が認められ、回復後も疲労症状と不活動が持続することでサルコペニアを発症し得るとの仮説も提示されている。こうした集団に対し、身体機能の回復と生活の質の向上を目的とした栄養的補強が求められる。

メシマコブ(学名Sanghuangporussanghuang、台湾名:桑黄[サンファン])は、伝統的に用いられてきた薬用キノコで、近年の薬理研究では免疫調節・抗酸化・抗炎症など幅広い生理活性が報告されている。主要成分のひとつであるポリフェノール色素ヒスピジン(hispidin)は強い抗酸化作用を示し、当社の先行研究ではヒスピジン高含有メシマコブ菌糸体がNrf2経路を用量依存的に活性化することを確認している。Nrf2は加齢やサルコペニア進展と関連する重要指標であり、高齢者ではNrf2–ARE応答が低下し運動の効果も若年者より小さいことが知られている。こうした背景から、独自の発酵技術で生産したヒスピジン高含有のメシマコブ菌糸体(MyoSS)を用い、不活動性筋萎縮モデルおよび疲労モデルにおいて筋機能の改善効果を検証した。

本稿で述べるメシマコブMyoSS素材は野生子実体ではなくバイオリアクター(Bioreactor)を用いた液体発酵で製造した菌糸体である。バイオリアクター培養により培地、pH、温度、酸素などを制御し、ヒスピジン(Hispidin)を指標とする機能性成分の高含量化(>3mg/g)とロット再現性の確保を図り規格化でき、産業規模での安定供給が担保される。

🔒この記事は雑誌に収録されています。

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