執筆者
消費者庁消費者教育課食品ロス削減法制検討室 課長補佐 杉田 育子/消費者庁食品表示課 食品表示調査官 斉藤 央
はじめに
わが国においては、本来まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」が、生産、製造、販売、消費等の各段階において大量に発生しており、その量は、年間472 万トン1)と推計されている。これは、国連世界食糧計画(WFP)による貧しい国や紛争地域に向けた食料援助は年間370万トンの1.3 倍もの量に相当する。つまり、世界で食べ物がなくて困っている人々に届けられる量を超える食品を私たちは食べずに廃棄していることになる。
この食品ロス量の内訳は、事業系食品ロス、家庭系食品ロスともに236万トンである。年間472万トンの食品ロスは、経済損失4兆円、温室効果ガス排出量1,046万トン-CO2に相当し、経済的にも環境的にも大きな社会問題となっている。
食品ロス削減については、令和元年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、同法に基づき閣議決定された「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(令和2年3月31日閣議決定、令和7年3月25日変更)において、令和12年度までに平成12 年度比で、事業系食品ロス60%削減(547万トン→219万トン)、家庭系食品ロス50%削減(433万トン→216万トン)との目標が設定されている。
このような食品ロス削減のための取組として、賞味期限の延長につながる「食品期限表示の設定のためのガイドライン」のほか、未利用食品の有効活用の観点からの「食品寄附ガイドライン」、外食時の食べ残し持ち帰りを促進する観点からの「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」についてそれぞれ紹介する。
1.食品期限表示の設定のためのガイドラインについて
…
🔒この記事は雑誌に収録されています。
続きは『食品と開発』7月号にてご購読いただけます。