執筆者
橋詰 昌幸1)、吉田 貞夫2-4)
1) 株式会社マルハチ村松、2)ちゅうざん病院リハビリテーション科、3) 沖縄大学健康栄養学部、4)金城大学
はじめに
日本では超高齢社会化が進行しており、高齢者のフレイル、サルコペニアが大きな問題となっている。フレイル、サルコペニアは、高齢者の日常生活活動(ADL;Activities ofDaily Living)の低下、誤嚥性肺炎、認知症などの発症リスクの増加や要介護の原因となる。厚生労働省の「介護保険事業状況報告(年報)」によると2023年(令和5年)年度末の要介護・要支援の認定者数は約708万人となり、年々増加している。
2022年(令和4年)の「国民生活基礎調査」(大規模調査)によれば、介護が必要となった主な原因は、認知症(16.6%)、脳血管疾患(脳卒中)(16.1 %)、骨折・転倒(13.9 %)、高齢による衰弱(13.2%)が上位を占めていた。こうした疾患は食事摂取量を低下させ、低栄養を引き起こす原因ともなる。
高齢者に多い認知症、脳血管疾患、心不全などの疾患の背景には、食事摂取量の低下、低栄養が存在していると考えられている。食事摂取量の低下、低栄養は、高齢者の生活の質(QOL;Quality of Life)の低下、フレイルの発症、サルコペニアの進行とも密接にかかわっている可能性がある。こうした背景を考慮し、低栄養を適切に診断し、フレイルの発症、サルコペニアの進行を防ぐための国際的な診断基準、GLIM基準が提唱された。低栄養はWHOの国際疾病分類ICD-11でも、治療すべき疾患として認識されるようになった。日本でも、医療・介護の分野で、GLIM基準の導入、低栄養改善のための取り組みが強く求められている。
また、日頃から、たんぱく質、ビタミンDなどを中心に、適切な栄養を摂取することで、フレイルの発症、サルコペニアの進行、脳卒中、認知症、骨粗鬆症などのさまざまな疾患の発症を予防できる可能性が示唆されている。地域で生活する高齢者にも、適切な食事・栄養の摂取の重要性について啓発を行っていく必要がある。
しかし、現状では、加齢や脳卒中の後遺症、認知症などの影響で、食事摂取量が低下し、低栄養が進行している高齢者が数多く存在する。医療・介護の現場では、看護師、言語聴覚士、管理栄養士が食事介助、経口摂取訓練、食事内容の調整などを行なうほか、病院では、栄養サポートチーム(NST)による支援が行われているが、食事摂取量を増加させることが困難な事例にしばしば遭遇する。この問題解決において、日本の食に欠かせないだしが解決の一助となる可能性が見いだされつつある。うま味を強化した濃厚液体だし、『ハンディブロスⓇ』が高齢者の食事摂取量に及ぼす影響について、最新の知見を報告する。
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