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穀類由来の食物繊維が、食物繊維摂取量増加の鍵
 ―小麦ブランによる腸内環境改善とメタボ予防

「ブランでスッキリ!」委員会では10月11日に、「~古くて新しい“ハイブリッド食物繊維・小麦ブラン”の新知見~内臓脂肪蓄積抑制(メタボ予防)効果とアラビノキシランの機能性」と題したメディアセミナーを行った。

セミナーでは、委員会メンバーであり日本の食物繊維研究の第一人者である青江誠一郎氏(大妻女子大学家政学部教授・家政学部長、(一社)日本食物繊維学会副理事長)により、「小麦ブラン(全粒小麦)の内臓脂肪蓄積抑制(メタボ予防)効果とアラビノキシランの機能性」に関する発表が行われた。

1955年の食物繊維摂取状況と比べ、最近の日本人は穀物からの食物繊維摂取が減少している(穀物からの食物繊維寄与率44%→21%)。野菜の摂取量を増やすことより、穀物からの食物繊維摂取を増やすことで食物繊維摂取を効率的に増やすことができるという。

小麦ブランには、便の嵩を増やす不溶性食物繊維が多く含まれるが、大腸内では水溶性食物繊維(アラビノキシラン)が溶出し、水溶性食物繊維としての機能も発揮する。このハイブリッドな二面性により腸内で様々な働きをする。

多くの研究データがあるのも小麦ブランの特徴で、排便量増加、過敏性腸症候群の改善、絨毛の杯細胞数増加、ムチン産生量増加、短鎖脂肪酸産生促進など様々に調べられている。小麦ブランを含む小麦全粒粉パンを使った食後血糖値上昇抑制試験では、空腹時血糖が高めの被験者において顕著な差が出ている。同様に、小麦全粒粉パンの3か月摂取により、内臓脂肪の増加抑制と、血清中性脂肪の増加抑制傾向も判明している。また、アラビノキシランが食後血糖値の上昇を抑制し、Ⅱ型糖尿病患者の耐糖能を改善することも調べられている。

続いて、同じく委員会メンバーで便秘外来の臨床医である小林暁子氏(小林メディカルクリニック院長)が、便通改善に定評のある小麦ブラン(不溶性食物繊維)の重要性と腸内環境改善に向けた対策などを、実際の便秘患者の症例などを交えて講演。

クリニックでは年間15000人の患者を診療しており、便秘の深刻な症状を紹介。患者は小学生から90代まで幅広く、食物繊維不足や運動不足、ストレスなどで都市部の2/3の人が腸に問題を抱えるほどだという。

最近は食物繊維にも水溶性と不溶性があるということが広く知られてきており、両方の食物繊維を摂取することが大事とし、“穀物繊維”にも注目すべきとした。不溶性食物繊維を摂取しにくい人にはシリアルなどをうまく使って摂取することも一つの手法だと紹介。

なお、会場には委員会メンバーで管理栄養士の柴田真希氏による小麦ブラン入りシリアルを使ったレシピと料理が紹介された。
(写真左上:コーンの香ばしチーズ焼きおにぎり。右上:ブランハンバーグ。下:ひとくちグラノラ)

「ブランでスッキリ!」委員会は2015年に発足。忙しい日々の生活でたまるストレスや、不規則で栄養バランスの偏った食生活により腸内環境が乱れてお腹の不調を抱える現代女性のために、医師や専門家による小麦ブランの最新研究や情報発信を行っている。

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