執筆者
農林水産省大臣官房政策課技術政策室
はじめに
近年、AIを始めとする破壊的な技術革新が急速に進展している。我が国においては、技術革新力や労働効率性の面では主要先進国と比べて遜色がないものの、国内投資の不足等を背景に潜在成長率の低迷が課題となっている。
こうした認識の下、高市政権は、様々なリスクや社会課題への対応と更なる経済成長の実現を目指し、2025年11月に日本成長戦略本部及び日本成長戦略会議を設置の上、同本部において、「危機管理投資」と「成長投資」を両輪として官民投資を重点的に促進する17の戦略分野を選定した。農林水産分野においても、生産性向上や輸出促進に向けた施策が進められてきた一方、気候変動による食料供給リスクの増大や担い手不足が進行する中、持続可能な食料システムの構築に向けた新たな技術やビジネスモデルの社会実装を加速する必要があることから、17の戦略分野の一つとしてフードテック(植物工場、陸上養殖、食品機械及び新規食品)が位置付けられた。
これを受け、農林水産省では鈴木農林水産大臣の下、副大臣、政務官及び有識者を構成員とするフードテックワーキンググループを設置し、2025年12月から2026年6月まで計5回にわたり、我が国の強みや課題、戦略的な官民投資促進策等について議論を重ねた。
各戦略分野の議論を踏まえ、2026年7月に「日本成長戦略」を閣議決定するとともに、17分野ごとの「官民投資ロードマップ」を日本成長戦略本部にて決定した。官民投資ロードマップでは、2040年を見据えた市場獲得目標や政策パッケージが示され、研究開発から社会実装、事業化、海外展開までを一体的に推進する方向性が示されている。また、フードテック分野における今後の検討事項については、「フードテックワーキンググループとりまとめ」として公表している。
本稿では、これらの検討を踏まえ、我が国のフードテックを取り巻く現状と課題、そして今後の政策展開について概観する。
1.フードテック推進の背景
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